インタビュー記事

第3回 クリエイター 梅﨑 泰佳さん【前編】


今回のお相手:梅﨑泰佳うめざきやすかさん

会社の紹介しょうかい動画どうがやパンフレットをつくるクリエイターという仕事を生業なりわいとしている。岡山県出身おかやまけんしゅっしんで、今も住んでいる。人の役に立ち、人をしあわせにすることが幸せだとかんじている。仕事以外では、「瀬戸内せとうちかわいい部」の部長として瀬戸内のかわいいものを紹介したり作ったりする活動をしている。

子ども取材班しゅざいはん

No.1 ケイティ:
空手や書道を一生懸命いっしょうけんめいがんばっている。空手で館長賞かんちょうしょうを取ったことがうれしかった。


生活をするためにお金をかせぐ仕事のことを「生業なりわい」といいます。おしごとメディアNARIWAIでは、働く大人に「仕事」と「お金」の関係についてお話を聞いていきます。

今回のゲストは梅﨑泰佳さん。クリエイターです。クリエイターって、いったいどんなお仕事なのでしょう?


ケイティ:
よろしくおねがいします。

梅﨑さん:
よろしくお願いします。


自分が本当にやりたいことは何か


ケイティ:
子どものころ、どんな大人になりたかったですか?


きれいでかわいい大人になりたかったですね。好きなものがいろいろあったので「絶対ぜったいにこれを仕事にしたい」と決めることはできませんでした。でも、いつか自分が好きなことを仕事にできたら楽しいだろうなとは思っていました。


ケイティ:
職業しょくぎょう名は何ですか?


クリエイターです。


ケイティ:
つまり何をしているお仕事なんですか?


会社を紹介する動画やパンフレット、チラシを作っています。


ケイティ:
いつごろクリエイターになりたいと思ったんですか?


大学4年生のときに、就職しゅうしょく活動といって大学を卒業した後にはたらく会社をさがしていた時期じきがありました。私は教育学部で勉強べんきょうしていたので、なんとなく教師きょうしになると思っていたんです。

でもいろんな人と会って将来しょうらいの話をしたときに、そういえば小さいころ絵をくのが好きだったことを思い出しました。そのときですね、教師ではなくクリエイターという仕事をしたいと思ったのは。


時期=きまった期間きかんのこと

教育学部=教育について学ぶコース。教師になる資格しかくを取ることができる。

教師=学校の先生


ケイティ:
えっ!なぜやっぱりちがう仕事をしようと思ったんですか?


大学生のときにオーストラリアに留学りゅうがくをしたんですね。そこでいろんな大学から来ている学生たちと将来の話をしました。さっきも言ったように、私は大学で教師になる勉強をしていたから、自分はこのまま教師になるもんだと思っていました。

でも、みんなは本当にやりたいことやゆめをすごくはっきり持っていました。私は今まで将来について考えたことがあったかな?とあせりましたね。自分の胸に手を当てて、「本当に先生になりたいのか?」「本当にやりたいのは学校の先生じゃないかも?」「何がしたい?」ともう一度考えました。

それで、デザインの仕事がしたいと思ったんです。絵を描くことが好きだったから。でも最初さいしょはなれないと思っていました。そういう仕事は、大学などの学校でデザインの勉強をした人しかできないと思っていたからです。


留学=海外で学校に通って勉強すること


ケイティ:
そうなんですね……。じゃあなぜなれたんですか?


就職活動で、岡山のある小さな会社の入社試験にゅうしゃしけんを受けました。そこでは「デザインの勉強をしていなくても、会社に入っておぼえてくれたらいい」と言ってくれました。無理むりだと思っていたので、「そんなにいい話が本当にあるの?」とはじめはうたがっていましたね(笑)。

ただ、そんな風に言ってくれてチャンスがあるのに「どうせ私なんて無理でしょ」とチャンスをつかまなかったら、一生後悔こうかいすると思いました。なのでその会社でクリエイターになることをめました。それが今の会社です。


入社試験=その会社に入るためのテスト

後悔=ああすればよかった、と後からなやんだりくるしんだりすること


チャンスをつかんでクリエイターになった梅﨑さん。


伝わるべきことを、きちんと伝わるようにする


ケイティ:
今の仕事内容ないようくわしく教えてください。


会社が人を採用さいようするってわかる?


ケイティ:
なんとなく……。


私は、依頼いらいを受けた会社を紹介するための動画やパンフレットを作るクリエイターです。「この会社はこんなにすてきですよ」「この会社で働くとこんなにいいことがありますよ」とその会社の魅力みりょく説明せつめいします。

「この会社に入りたいです」と自分から来てくれれば採用しやすいですよね。有名ゆうめいな会社だったら「大きくなったら入りたいな」「働きたいな」という人も多いと思うんです。でも有名じゃない会社は、そうもいかない。


採用=試験や実際じっさいに会って話をして、会社が「この人に働いてもらおう」と決めること

依頼=ものごとをたのむこと


ケイティ:
私たちはまだ知らない仕事が多いです。


うんうん。たとえば車って、部品がたくさんあるよね。その部品を作っているのはたくさんの会社や工場です。部品が一でもないと車は動きません。だから部品をつくるというのはすごく大事な仕事です。
でもそれを作っている会社のことはあまり知られていない。だからなかなか「働きたいです!」とその会社には来てくれないんですよね。

すごく大事な仕事をしてくれるけれど、人に知られていない。そんな会社を動画やパンフレットにして、どんな仕事をしているのかを紹介しています。そこで「そんな会社があったのか!」と初めて知ってもらえることがあります。

会社と仕事を探している人の間に立って、デザインや映像えいぞうの力で伝わるべきことをきちんと伝わるようにするのが私の仕事です。


ケイティ:
どうやったらクリエイターになれるんですか?


デザインの力を身につける方法はいろいろあると思います。デザインを学ぶ学校に行く人もいれば、自分で学ぶ人もいます。


ケイティ:
資格しかく必要ひつようですか?


必要ないです。
PhotoshopフォトショップIllustratorイラストレーターといったパソコンのソフトが使えると、仕事がやりやすいかもしれませんね。


Photoshop=写真を編集するソフト

Illustrator=イラストや文字のデザインをするソフト


ケイティ:
なぜその仕事を続けていこうと思ったんですか?


デザインに関する仕事ができるんだったら、何でもやってみたいと思っていました。今まで自分が知らなかった会社や仕事に出会うことができますしね。

今ケイティちゃんがインタビューしているように、私もまわりの人に話を聞くことがあります。目立たなくても、気づかれなくても、自分の仕事にほこりを持っている人ってたくさんいるんです。

そういう人たちと話すことで元気をもらえますね。自分も頑張がんばろうと思えます。だからこの仕事を続けています。


誇り=すばらしいと思えること


ケイティ:
やすかさんが作った動画を見たんですが、動画やパンフレットを見やすくする工夫くふうはありますか?


そうだなあ、まず……わかりやすくすることはすごく大事だと思っていますね。
専門的せんもんてきではなく、だれが聞いてもわかる言葉を使うようにしています。その仕事をしてないとわからない言葉ってたくさんあるから。わかりやすく伝えるということはいつも心がけています。

何のための仕事かがわからないものも、動画を作って説明せつめいをするとわかりやすいしイメージしやすくなります。

会社が自分の会社の魅力をきちんと伝えられることと、仕事を探している人が自分が活躍かつやくできる会社を見つけられることは、とても大切なことです。


専門的=その仕事をしている人だけがわかる、またはできること。


採用の結果がどうだったか、会社の人たちの前で発表もします。


本当に価値があるものにスポットライトを当てる


ケイティ:
この職業の魅力とは何ですか?


魅力は、あまり知られていないし目立たないけれど、世の中で必要とされている仕事をしている人たちにスポットライトを当てることができることです。

自分の仕事がこんなに役に立っているんだ、こんなにたくさんの人に求められていてたくさんの人を助けているんだ、ということに気づいてもらえるといいですね。
本当に価値かちがあるものにスポットライトを当てることができる仕事だと思います。


価値=どれほどすばらしいか、またどれくらい大切かということ


ケイティ:
その人たちにスポットライトを当てて、かがやかせられたらうれしいですか?


すっごく嬉しい!

あまり自信がなかった人が、自分の価値が分かった後に生き生きと働いてくれるようになることもあります。
自信満々じしんまんまん笑顔えがおで語ってくれることがある。自分に自信を持ってキラキラ輝いてくれるのが嬉しいですね。そういう人がえると「あそこで働いてみたい」と思う人も増えるんです。

人が働いてくれるから会社が続いていく。だから採用をしないといけない。
人が必要としている商品しょうひんを生み出し続けられるようになるから、私がした仕事でそうなるのがすごく嬉しいですね。


ケイティ:
大変なことはありますか?


「ここまでやったら終わりですよ」という終わりがないことです。もっとかっこいい曲を使いたい、もっときれいな写真にしたい、いいデザインにしたい、という風に「もっと」と思うと切りがありません。いつも考えているので、お休みの日も休みな気がしませんね(笑)。


ケイティ:
もっとよくしていきたいと思って終わりがない時、どうやってこれで終わりにしようと決めるんですか?


あはは、そう思うよね(笑)。め切りが来たらそれでおしまいです。締め切りぎりぎりまで、もっとよくできないかを考えています。


締め切り=それまでにすると決まっている時間や日にち


ひとの仕事にスポットライトを当てて輝かせることが、やすかさんのよろこびのひとつ。


ケイティ:
生まれ変わってもまたこの仕事がしたいですか?


したいですね。

ちょっと形は変わるかもしれないけれど、人にスポットライトが当たる手伝てつだいができる仕事がしたいです。頑張っている人が輝けるような仕事をするのが嬉しいです。

楽しいからデザインはするかな。今も思っていることですが、英語えいごや海外のことが好きなので海外に関わるような仕事がしたいです。


ケイティ:
海外!どんな仕事がしたいですか?


例えば……そうだなあ、海外の人に日本の会社の技術ぎじゅつや商品のすばらしさを伝えたりしたい。逆に海外で日本にないような技術や商品、仕事があればそれを日本に伝えたりできたらおもしろいかな。


技術=ものを作り出したり、生み出したりする方法


どの仕事もみんなの生活を支えている


ケイティ:
この仕事を今の子どもにおすすめできますか?


できます!
本当に価値のあるものにスポットライトを当てることができる、すごく大切な仕事だと思うからです。

誰かがその仕事の内容や頑張りを知って伝えないと、誰にも気づかれないままになります。
自分のやっていることの大切さに気づかなかったり、悲しい気持ちになることもあると思います。やりがいが感じられなかったり、むくわれなかったりするのがもったいない。
でもこの仕事なら、その人たちの頑張りを周りに伝えることができる。

これからきっと仕事の形も変わってきます。AIってわかる?


報われる=頑張りに対して、きちんと結果や成功を手にすること

AI=人間の脳ができることを、代わりにコンピューターができるようにする技術


ケイティ:
わかります。


今ある仕事がどんどんなくなって新しい形の仕事が生まれたり、別の仕事に変わる人も出てくると思うんです。AIもその新しさのひとつです。
そのときに、どの仕事もみんなの生活を支えているということを伝えていかないといけない。みんなが住みやすい世界を作っていくことが大切です。


ケイティ:
みんなで作っていかないといけないですね。ではこれからやっていきたいことはなんですか?


先ほど言った海外でのお仕事が、これからやっていきたいことのひとつでもあります。



クリエイターとしての喜びや幸せについて、笑顔いっぱいで語ってくださった梅﨑さん。
後編こうへんは、「仕事」と「お金」の関係についても聞いていきます。


後編に続く

梅﨑さんのTwitter

瀬戸内かわいい部

せとかわデニムプロジェクト




【子どものためのおしごとメディアNARIWAI】
子ども取材班:ケイティ
編集部:スナミアキナ、吉川由
サムネイル写真撮影:鈴木ヘレン
ライティング:吉川由
サムネイルデザイン・編集:スナミアキナ
編集長:吉川由
主催:YOKARO