インタビュー記事

第19回 歌とみんなの笑顔が生きがい 「アーティスト」 RiRiKAさん【前編】

今回のお相手:RiRiKAリリカさん

歌手かしゅ女優じょゆうという仕事を生業なりわいとしている。2003年宝塚たからづか歌劇かげきだんに入団、花組はなぐみむすめやくとして活躍かつやく。宝塚音楽学校では、うた授業じゅぎょうでそれまでだれももらったことがない最高さいこう成績せいせきしゅう」をもらったことがある。宝塚歌劇団を退団たいだんしたあとは、歌手としてテレビや舞台ぶたい、YouTubeで活躍。テレビ東京とうきょう『THE カラオケ★バトル』で6かい優勝ゆうしょうするなど、誰もがみとめる歌の力をもつ。

子ども取材班しゅざいはん

No.13 みかん:
勉強やダンスを頑張っている。水槽すいそうから飛び出した魚が生きていて、元気になったことが嬉しかった。

No.14 伊藤 凛:生業にしたい職業は女優。ジュニアアースジャパンの京都グランプリ、日本大会グランプリになったので、世界大会に向けてウォーキングやスピーチをがんばっている。

No.10 ばん:
バスケのドリブル練習れんしゅう二重にじゅうとびをがんばっている。誕生たんじょう日にレストランに行ったこと、大なわでみんなで目標もくひょう達成たっせいしたことが嬉しかった。

No.12 虹太:
お母さんが読んでいる新聞を、自分じぶんも読むことを頑張っている。山を散策さんさくして木を切ったことや、ビームライフルの体験たいけんをしたことが嬉しかった。

生活をするためにお金をかせぐ仕事のことを「生業なりわい」といいます。おしごとメディアNARIWAIでは、働く大人に「仕事」と「お金」の関係についてお話を聞いていきます。

今回のゲストはRiRiKAさん。歌手かしゅです。歌手って、いったいどんなお仕事なのでしょう?

みかん、伊藤凛、虹太、ばん:
よろしくおねがいします。

RiRiKAさん:
よろしくお願いします。

みんなを元気にしたかった子ども時代じだい

子どものころから自分じぶん表現ひょうげんすることが好きだった

虹太:
子どものころ、どんな大人おとなになりたいと思っていましたか?

おもしろい人になりたかったです。私の子どもの頃の写真しゃしん変顔へんがおしかないくらい、ひょうきんでとても明るい子でした。自分じぶん表現ひょうげんすることがすごくきだったんです。

ところで、みんなはどこにんでいるのかな?

ひょうきん=まわりの人をおもしろがらせたりわらわせたりすること

虹太:
愛知あいちです。

みかん:
滋賀しがです。

伊藤凛:
大阪おおさかです。

ばん:
東京とうきょうです。

ばんくんからは、都会とかいかぜいているようにかんじるなあ(笑)。私は大阪出身しゅっしんなので、虹太くん、みかんちゃん、凛ちゃんとは出身がちかいですね。みんなは吉本よしもとしん喜劇きげきってってる?

虹太:
知ってます。

ばん:
うーん……?

ばんくんは知らないかな?お笑い芸人げいにんがたくさんあつまって、大阪で毎週まいしゅう舞台ぶたいをするの。週末しゅうまつにはテレビでも放送ほうそうされていて、私はそれを見るのが生きがいでした。

とにかく放課後ほうかごいそいでいえかえって、吉本新喜劇を見ることに力を入れていたくらいです。新喜劇のネタをみんなに披露ひろうするような、ひょうきんな子でした。

多分たぶん目立ちたがりだったんでしょうね。子どもの頃は、そういうエピソードがたくさんあって、過去かこの写真もふざけた写真しかありません。テレビで「むかしの写真を出してください」と言われることがあっても、かわいい写真が全然ぜんぜんなくて。白目しろめでピースしている写真ばかりです。

全員:
(笑)。

白目でピース。みんなを笑わせて元気になってもらうのが好きだった

真面目まじめ勉強べんきょうするのは苦手にがてだったけれど、自分の体やこえでできることでみんなに元気になってもらうのが、昔から好きでした。それは今につながっていると思います。

だから将来しょうらいは、みんなを元気にできる仕事しごとをする、明るいおばちゃんになりたかったです(笑)。

ばん:
あこがれていた人はいますか?

伝記でんきを読むのが好きで、ナイチンゲールやアンネ・フランクなどに憧れていました。中学生の頃は、看護師かんごしになりたいと思っていたこともありました。

音楽にかんしては……みんないろんなきょくを聞くと思います。虹太くんはSEKAI NO OWARIセカイノオワリが好きなんだよね? かれらは自分で曲をつくって歌っているよね。

SEKAI NO OWARI=4人組の音楽バンド

虹太:
はい。

私も彼らのように、自分で曲をつくって作詞さくしして歌う人に憧れていました。

今もテレビやYouTubeユーチューブでも活躍かつやくされている、広瀬ひろせ香美こうみさんという歌手がいます。彼女かのじょは今言った内容ないようくわえて、さらに編曲へんきょくもやるの。編曲ってわかる?

全員:
くびをかしげる)

たとえば私の場合ばあい、まず、曲の基本きほんをピアノでつくります。そこにドラムの音やギターのなま演奏えんそう録音ろくおんや、コンピューターでほか楽器がっきおんを加えてもらって、音に厚みやバリエーションを出して、一曲いっきょく仕上しあげることです。

曲づくりは編曲が一番いちばん大変たいへんで、技術ぎじゅつ必要ひつようです。広瀬香美さんはだれの手もりずに、そこまで全部ぜんぶ一人ひとりでやっちゃうの。もちろん歌も、ものすごく上手じょうず。自分のかんがえをしっかりって、自分の力でみちひらいていく人はすてきです。

今でも広瀬香美さんは憧れの人で、彼女のようになれたらいいなと思っています。

作詞さくし作曲のほかに、編曲までできる歌手になりたい

伊藤凛:
RiRiKAさんの職業しょくぎょう名は何ですか?

歌手です。歌を生業にしています。それに舞台に出ていた経験けいけんから、女優じょゆうとしてミュージカルのお仕事をいただくこともあります。

私は16さい宝塚たからづか音楽学校に入って、歌とダンスとお芝居しばいを学びました。宝塚歌劇かげきだんを22歳の時に退団たいだんして、そこからは歌と音楽だけで仕事をしてきました。なので職業名は、「歌手・女優」と表現ひょうげんしています。

宝塚歌劇団=男役も女役も女性が演じる、女性だけの劇団。ファンがとても多い。

宝塚音楽学校=宝塚歌劇団に入る前の2年間、歌やダンスやお芝居の勉強をする学校。受験じゅけんのチャンスは中学校3年生から高校3年生のあいだの4回まで。毎年1000人以上が受験じゅけんをするけれど、入学できるのは40人だけ。合格ごうかくをめざして何回も受験する人もいる。

虹太:
仕事内容ないようくわしくおしえてください。

歌手の仕事は、スタジオで歌をレコーディングして、みなさんのもとにとどく「音楽おんがく」をつくることです。

歌を録音ろくおんする「レコーディング」という作業さぎょうは、たくさんの人が協力きょうりょくしてくれます。まず、作詞、作曲、編曲をする人がいて、音源おんげんができあがります。私はそれをヘッドフォンできながら、上手に歌えるまで録音します。

その後は「ミックス」といって、声と音源をきれいにぜて、聴き心地ごこちがいい音にしてもらいます。そこまでして、ようやくみなさんのところに届く曲ができあがります。

 その曲をみなさんに聞いてもらうために、私はiTunesアイチューンズやYouTubeで発信しています。曲を生で披露ひろうするライブなどもおこなっています。

iTunes=Appleアップルというアメリカの会社がつくっている、音楽や映画えいがを聴いたりたりするための仕組しく

虹太:
ミュージカルではどんなことをしていますか?

舞台ぶたい初日しょにちの1ヵ月かげつはんくらいまえから、みんなであつまって稽古けいこをします。おお道具どうぐさん、道具さん、衣裳いしょうさん、照明しょうめいさんなど、たくさんのスタッフさんのおかげで、私たち役者やくしゃは舞台に立つことができます。

本番の日は、舞台が始まる2時間前に楽屋がくやはいり、発声はっせい練習れんしゅうやストレッチをしてから本番ほんばんいどみます。

宝塚音楽学校で学んだことが今でもかされている

「歌を仕事にしよう」と思ったきっかけって?

みかん:
なぜその仕事をしようと思ったんですか?

子どもの頃は、まわりから「歌が上手だね」と言われたけれど、自分ではプロになれるほどではないと思っていました。

でも高校生の時、「将来は音楽に関わることをしたい」と思うようになり、宝塚音楽学校をめざすことにしました。宝塚音楽学校は、宝塚歌劇団の舞台に立つことをめざして、歌やダンスをたくさん練習してきた人たちや、天才てんさいが集まる場所で、入学できるのはえらばれたごくわずかな人たちだけなんです。

私も合格ごうかくをめざして歌やバレエをならはじめました。「絶対ぜったいかりたい!」と必死ひっしになって練習していたら、なんとその年のはる、16歳で宝塚音楽学校に入ることができたんです。

全員:
すごい!

入学した頃はまだ歌手になりたいという思いはなかったけど、ある時、歌の成績せいせきが一番になったの。「この選ばれた人たちの中で歌が一番うまいってことは、歌手としてやっていけるのかもしれない」と自信になりました。

そこから自信じしん芽生めばえて、宝塚歌劇団をめたあと、歌手としての活動をスタートしました。

ばん:
宝塚音楽学校でダンスも習っていたんですよね。その中でミュージカルで一番やくに立っていることは何ですか?

ダンスはどうしても周りにかなわなくて、私は下から数えたほうが早かったな。でも、姿勢しせいはよくなりましたね。宝塚では、立っているだけでもうつくしくないといけないので、けんこうこつをぐっとせて、舞台で美しく立つ姿勢をしっかり学びます。

そのおかげで、舞台だけではなく、歌手としてステージに立つ時も美しくみえる姿勢が身についたので、ダンスを習ってよかったなと思います。

肩甲骨=背中せなかの上のほうにある大きなほね

伊藤凛:
宝塚音楽学校に入ってから、歌やダンスの練習ではどういうことをしましたか?

みんなの学校は、国語こくご算数さんすう体育たいいく、音楽などの授業じゅぎょうがあるじゃない? それが音楽学校は、バレエ、声楽せいがく演技えんぎ、タップダンスなど、舞台にかかわる授業しかないの。

歌だけでもクラシック、ポピュラー、新曲しんきょく歌唱かしょうなどがあります。ダンスもバレエだけでなくジャズダンス、モダンダンス、タップダンスなど、さまざまな授業がありました。

授業だけではりないから、朝早く学校に行っていている教室で練習したり、授業が終わった後ものこって特訓とっくんしたりしましたね。練習できる部屋へやかずかぎりがあるので、みんなでっていました。

音楽学校は、成績がすべてり出されます。成績がひくいとずかしいから、必死に練習しました。

宝塚音楽学校では歌のほかにもダンスや演技も勉強した

伊藤凛:
演技のレッスンでは、どういうことをしましたか?

昔、「キリンさんが好きです。でも、ゾウさんのほうがもっと好きです」というCMシーエムがあったんです。そのCMを使って、どれだけゾウさんのほうが好きなのかを、声だけでアピールするレッスンがありました。はばひろ内容ないようのレッスンをしていましたが、一番おぼえているのは、キリンさんとゾウさん(笑)。

宝塚大劇場げきじょうはとても広くて、2,550人ほど入ります。一番後ろのせきの人にも自分の声でありがとうをとどけられるように、思いを声でアピールする練習をしていました。

宝塚大劇場=兵庫ひょうごけん宝塚たからづかにある、宝塚歌劇団が舞台を行う劇場

ばん:
楽器も練習しましたか?得意な楽器はありますか?

はい。楽器の授業があって、ピアノとお琴と三味線の3つの中から1つを選べたのですが、私はお琴を選びました。でも、それ以来いらいいていないから、もう弾けません(笑)。

ピアノは3歳から10歳まで習っていました。でも、ピアノを続けておけばよかったなと思います。歌手になった今はピアノで曲をつくっているので、また1から勉強し直して大変でした。

ギターも、曲をつくる程度ていどは弾けます。子どもの頃は、リコーダーが得意とくいでした。

とにかく歌で一番になりたい

みかん:
どうやったら歌手や女優になれるんですか?

まずは歌を習って、しっかり練習するのがとても大事だと思います。生まれつき歌がうまい人も、発声方法ほうほうがしっかりできていないと、ライブができる歌手にはなれません。

それと、自分が「歌を歌いたい人」だということをまわりにってもらう必要ひつようがあります。今の時代だとYouTubeやSNSエスエヌエスを利用して、歌っている動画どうがをたくさんアップするのもいいですね。

自分を研究けんきゅうするのも大切です。自分でった動画を見て、人からどんな風に見えているか、何度なんどり直してチェックします。歌って、誰かに見てもらって、拡散かくさんしてもらうためにもたくさん練習する。目立つためには、個性こせいも必要かな。

SNS=ソーシャルネットワークサービス。インターネット上でコミュニケーションを取ることができる仕組み

拡散=広めること

個性=その人ならではの特徴とくちょう性格せいかく

歌の練習以外にも、まず自分を知ってもらうことが大切

ばん:
目立つための工夫くふうはありますか?

まずは、ハキハキと自分の意見いけんを言うことかな。自分が思うことをしっかり言えるといいですね。あとは、お花がいたようにパアッと明るい笑顔だと、人の目をくと思います。

それから私がすてきだなと思うのは、自分を持っている人。こだわりを持って何かきわめたり、「自分はこうやりたいんだ!」とはっきり表現できる人は、目立つんじゃないかな。

みかん:
そうなんですね。

歌手や女優になるためには、オーディションを受けてみるのもひとつの方法です。私たちの時代にはオーディションがあまりなかったから、歌手になるために路上ろじょうで歌っている人がたくさんいたの。ライブハウスでほかのバンドが歌う前にステージに出してもらったり、小さなCDショップをまわってみかんばこの上にって歌ったり。私もそんなことを何年も続けていました。

あとは、芸能げいのう事務じむしょに入ってみる。事務所に電話でんわして、「入りたいんですけど、どうしたらいいですか?」と聞くのもいいと思いますよ。

自分をみがきながら、自分を積極せっきょくてきに知ってもらう努力どりょくをしていくこと、そしてあきらめずに続けることが必要ひつようです!

 オーディション=作品さくひんに合う俳優はいゆうや歌手を選ぶための審査しんさ

伊藤凛:
一番努力したことや、むずかしかったことは何ですか?

私は、とにかく一番になりたいの。宝塚の時もそうだし、歌のうまさをきそう『THE カラオケ★バトル』というテレビ番組に出演しゅつえんする時もそう。1番になるためだったら、何でもする。他のことがちょっとおろそかになっても、全ての時間を歌だけに注ぎます。

『THE カラオケ★バトル』でみごと優勝ゆうしょう

私は、同時どうじにいろんなことを器用きようにできるほうではないので、とにかく歌で一位いちいをとれるように、朝からばんまで練習しました。

でも練習しすぎて、のどこわしたこともあります。失敗しっぱいしながら勉強したように思います。

みかん:
歌手になる夢をかなえていますが、これからなりたい自分はありますか?

私にはまだ、できることがたくさんあります。

今すでに歌手として自分の曲を発表はっぴょうできていて、自分の歌をいてくれる人や応援してくれるファンがいるのはたしかです。でも、今の自分に満足まんぞくしているかというと、まだまだ満足していません。

もっとたくさんの人に聴いてもらえるように、これからも活動を続けていきたいですね。自分の今の気持ちや、今の自分にしか届けられない曲を発信はっしんしたいです。

歌手になるには自信が必要

虹太:
歌手になるのに、必要な資格しかくはありますか?

資格は何もいりません!(笑)

音楽へのあいと、根性こんじょうがあればOKです。今の時代は、もし虹太くんが歌手になりたいと思えば、YouTubeにアップするだけでなれちゃうかもしれないね。でも歌手になるためには、資格の勉強をするくらいの努力が必要なのは間違まちがいないね。

ばん:
小学校の勉強で、やくに立つことはありますか?

全て役に立つんじゃないかな。いろんなものが自分にとって刺激しげきになり、役に立つ材料ざいりょうになります。

例えば、自分で歌詞を書く時には国語力が必要です。理科で植物をでることもそうだし、社会で今までの歴史れきしじょう人物じんぶつについて勉強することもそう。曲をつくるうえでも、歌う場合でも役に立ちます。

音楽はもちろんですが、特に国語が大事かな。みんなは音読おんどくしている?

愛でる=愛して、大切にすること

ばん:
音読は好きです。

好きなんだ!いいことだね。セリフの部分を楽しんで、いろいろな読み方や自分なりの表現をためせるとすごくいいよね。えんじることで、お芝居しばいがおもしろいと思うことにつながるかもしれません。

音読を通して演じるうちに、自分なりの表現の方法が見つかると、自分の自信になります。「私はこれができる」という自信がないと、絶対に歌手にはなれません。

学校でテストの結果が来ると、今の自分の点数てんすうが目に見えてわかります。「もっとがんばったら、もっとできるようになるかもしれない」と上を目指めざす気持ちも学べる。だから学校の勉強は、すべて役に立つと思います。

ー自信を持つことの大切さや今までの努力、歌手として必要なことについてお話しくださったRiRiKAさん。後編こうへんでは歌うことへのあつおもいや、「働く」と「お金」の関係についても聞いていきます。

【子どものためのおしごとメディアNARIWAI】
子ども取材班:みかん、伊藤凛、虹太、ばん
編集部:スナミアキナ、吉川ゆゆ
ライティング:吉川ゆゆ
サムネイルデザイン:南 裕子
編集:スナミアキナ
編集長:吉川ゆゆ
主催:YOKARO