インタビュー記事

第21回  子どもも大人も笑顔になれるまちづくり「まちづくりコーディネーター」 並木優さん【後編】

今回のお相手:並木なみきゆうさん

株式会社クオルで、エリアマネジメントにかかわる仕事しごとをしている。東京とうきょう新宿しんじゅくにある「みちくさくらす」のオーナーでもある。仕事でもプライベートでも、まちづくりにはげんでいる。子どもが二人いて、子どもに楽しくはたらはは姿すがたを見せたいと、毎日まいにち笑顔えがおで働くお母さん。音楽が大き。

子ども取材班しゅざいはん

No.9 わー:
にわとりの世話せわをがんばっている。書道しょどうきゅうが上がったことがうれしかった。

No.12 虹太こうた
お母さんが読んでいる新聞を、自分じぶんも読むことをがんばっている。山を散策さんさくして木を切ったことや、ビームライフルの体験たいけんをしたことが嬉しかった。

小さなかさねがまちをよくしていく

わー:
仕事しごと魅力みりょくと、大変たいへんだとおもうことはなんですか?

みちくさくらすでもクオルでも、いろんな人とかかわれることが魅力かな。まちのことをかんがえていく中で、たくさんイベントをひらいて、関係者とやりとりをします。

どちらも人が集まる仕事なので、いろんな人と知り合いになれます。ただ生活をしているだけでは出会わないような、魅力てきな人に出会えたりする。これが一番いちばんの魅力だと思いますね。

わー:
魅力的な人って、具体ぐたいてきにどんな人ですか?

みちくさくらすはワークショップをやったり、カフェとして場所ばしょ使つかってもらったりしています。わたしはまちづくりや建築けんちくをやっていますが、イベントをすることで、私とはまったちがう仕事をしている人たちと出会える。近所きんじょのおてらのおぼうさんが遊びに来てくれたり、喫茶きっさてんのマスターとなかくなったりもしていますよ。

まちにはいろんなスキルをった人や、まちをよくするために活動かつどうしている人がいます。そういう人たちは、とても魅力的です。

いまはコロナ全然ぜんぜんイベントができていないんですが……これはワークショップをやっている様子ようすです。ワークショップをすると、子ども同士どうしの出会いもありますね。

コロナ禍=新型しんがたコロナウイルスの感染かんせんひろがり、生活がわってしまった状態じょうたいのこと

みちくさくらすでのイベントのようす

わー:
大変たいへんだと思うことはありますか?

いろんな人があつまってくるので、こまることもあるんです。たとえばあやしい勧誘かんゆうの人が来たり、意見いけんちがいがあったり。人がおおいほど意見いけんがぶつかることもあるので、その調整ちょうせいも大変です。

まちづくりは、その地域ちいきの人たちとやりとりをつづけることが大事だいじ。やったことにたいして、明日あしたすぐに結果けっかが出るというわけではありません。毎日の小さなことの積み重ねが、まちをよくしていくことにつながります。

小さなやりとりがすごく多いので、それも大変ですね。

勧誘=すすめやさそ

虹太:
生まれ変わってもまたこの仕事がしたいですか?

生まれ変わっても、まちに関わる活動はやりたいと思います。

自分じぶんがやっていることをかえると、自分の家族かぞくがやっていたことにつながっているなとおもいました。祖父そふは町長だったので、自分のまちでどうやってまちづくりをしていくのか、める役目やくめがありました。私がまちづくりに関わっているのは、もしかしたら祖父のいでいるからかもしれません。

それに私が子どものころ祖母そぼはは英語えいご先生せんせいをしていました。その頃は英語教室というのはめずらしかったので、夕方ゆうがた時間じかんになると私の家に毎日のように子どもが集まっていました。その風景ふうけいこころ奥底おくそこにあって、いつか私も子どもが集まる場所をつくりたいと思いました。

家族がやっていたようなことを、今自分もやっている。家族のいい部分をき継いでいると、大人になってからあらためて思い、家族に感謝かんしゃをしています。

地元はまちづくりのきっかけになった大切な場所

お金には代えられない価値がある

わー:
まちづくりの仕事は、今の子どもにもおすすめできますか?

おすすめできます。すごく楽しいです。

大きな会社につとめている人も社会しゃかいの力になっているし、おもしろいことをやっていると思う。でも個人こじんや小さな団体だんたいでも、自分のやりたいことを、しかも社会にとっていいことをやっていこうという考えをっている人が、私のまわりにえています。私は今33さいなんですが、とくおな年代ねんだいの人たちが多いですね。

これからの時代じだい、お金にはえられない価値かちが、どんどん大事だいじになっていくんじゃないかな。場所も、人も、ものも、みんなでシェアして、みんなで価値を共有きょうゆうしていく。お金だけでははかれないところにやりがいを見いだしたり、自分じぶん挑戦ちょうせんしてみたいと思ったりする人がえていくと思います。

2人が就職しゅうしょくする年齢ねんれいになったとき、まちづくりに関わる仕事は増えていくだろうし、注目ちゅうもくされていくんじゃないかな。

価値=どれほどすばらしいか、またどれくらい大切たいせつかということ

シェア=うこと

虹太:
これからやっていきたいことは何ですか?

自分の子どもが楽しく生きられる世界せかいをつくりたいです。新宿しんじゅくんでいる人間として、周辺しゅうへんのまちや人をんで、新宿を元気にしていくのが今後こんご目標もくひょうですね。

コロナになってしまったことは、まちづくりの活動においてもインパクトがありました。2年前にはできていたことが、全然ぜんぜんできなくなっちゃった。みちくさくらすも、コロナ禍の前ほどイベントができていません。

いろんなことを考えると、物事ものごとはなかなかすすみません。感染かんせんひろがってもいけないし、思うように活動ができてない部分ぶぶんもありました。今後も新型しんがたコロナウィルスのような感染かんせんしょういながら、生活していくことになるんでしょうけどね。

虹太:
そうだと思います。

今、愛知あいち茨城いばらきにいる2人と話せているのは、Zoomズームがあるおかげです。コロナ禍になって、オンラインでできることのはばが広がったと思うので、それはすごくいいことだと思います。

でも対面たいめんで会って話をすることや、集まって活動することの楽しさや価値は、今後も絶対ぜったいにあるはず。会ってコミュニケーションをとることで生まれる価値を大事だいじにしながら、活動をつづけていきたいです。

わー:
楽しく生きられる世界をつくりたいって、具体的にどんな世界にしたいですか?

保育ほいくえん学童がくどうの人数がいっぱいで、なかなか入れないという話をしましたね。さらに新型コロナウィルスの影響えいきょうで学校が休校になったり、イベントがなくなったりと、今の子どもは社会の影響をつよけてしまっていると思うんです。私は、この状況じょうきょうなんとかしたい。

東京とうきょう都内とないにはいろんな人が住んでいます。マンションのとなり部屋へやに住んでいる人をらないこともある。

また、電車でも心配しんぱいなことがあります。小さい子どもは、まだ上手じょうずにお話ができません。泣いたり大きな声を出したりして、自分の気持ちを伝えます。でもまわりの人にはそれがうるさく感じられることも。だから、子どもをれて電車にるだけで、迷惑めいわくそうにつめたい目で見られることもあります。

おやだけで子そだてをしなくちゃいけないの中だと、子どもも生きづらいんじゃないかな。

もっとまち全体で、子どもを育てる意識いしきてるといいですね。まちの人、一人ひとりが「まちをよくしていこう」「子どもを見まもろう」という意識を持ったら、きっと犯罪はんざいると思います。

うちの子どもは、わーちゃんと虹太くんと年齢ねんれいちかいので、2人にとっても楽しく生きられる世界にしたいな。

わー:
なるほど。

まちにかお見知りの人がたくさんいると、子どもも安心あんしんできるし、毎日まいにちが楽しくなると思うんですよ。だから、まち全体ぜんたいで子どもを育てるのが当たり前で、今よりも子どもがいろんな大人とかかわれる世の中になったらいいなと思います。

2人はNARIWAIにも積極せっきょくてき参加さんかしているから、きっとすてきな大人ともたくさん出会っているんでしょうね。これからはそれが当たり前になって、大人と子どもが出会える機会きかいえていくといいんじゃないかな。

たくさんの人たちとの出会いを大切にしている

どうせなら楽しく働いて、いきいきしたい!

虹太:
ここからは、「働く」ということと「お金」の関係かんけいについて聞いていきます。「働く」ということについてどう思いますか?

私にとって仕事は、趣味しゅみ興味きょうみ、楽しいと思うこととかさなります。だから「働くこと=楽しい」。毎日働いているのか趣味でやっているのか、いい意味いみでわからなくなるほど楽しいです。

でもそういう人ばかりじゃなくて、お金をかせぐためにって働いている人もいると思うので、考えは人それぞれ。ただ一般いっぱんてきに1日8時間は働くだろうから、仕事がつまらないと、1日のおおくの時間が楽しくなくなりますよね。

1日の大部分を使って、わざわざ子どもを保育園にあずけてまで働いていますからね。どうせなら楽しいことをやりたいと思うし、みんなが楽しいと思って働いたら、いきいきした社会になるのになと思います。

わー:
「お金」についてはどう思いますか?

最低さいていげん生きていくお金はだれでも必要だと思うので、その分のお金は稼がなきゃいけないと思います。わーちゃんと虹太くんのご両親りょうしんもきっと、2人を育てるために働いたり、貯金ちょきんしたりしていると思う。

私もおやなので、子どもに自由じゆうをさせず、自分もちゃんと生きていけるお金が必要です。でもいっぱいお金がしいからって、毎日まいにち毎日残業ざんぎょうして働いて、つらい思いをたくさんして、全然プライベートを楽しめないのはちがうかな。

私だったら、楽しさと、お金と、どうやったら社会やまちにいいことができるかが大切。その3つが、うまくバランスがれて納得なっとくのいくところをえらんで働いています。

クオルでのワークショップのようす

虹太:
お金を「稼ぐ」ことについてはどう思いますか?

稼げなかったら生きていけないので、最低限稼ぐことは必要だと思います。でもさっき言ったように、お金にはえられない価値もある。私の場合は、人が集まる場所でいろんな人と知り合いになれます。人がつながっていくことで、新しい発見はっけんができるし楽しい。

出会いの中で、「この人にたのんでみよう」「この人と一緒いっしょにプロジェクトをやったらおもしろいことが生まれるかも」と、新しいプロジェクトが生まれることもあります。

そういうつながりをたくさん持っていると、もっとおもしろいことができたり、もしかしたら新しいお仕事が生まれて、お金になったりするかもしれない。私はお金には換えられない価値を大事にしていきたいので、稼ぐことにはこだわらなくてもいいのかな、とも思います。

プロジェクト=目標もくひょう達成たっせいするための計画けいかく

わー:
給料きゅうりょうはどうやって決まるんですか?満足まんぞくしていますか?

クオルのお給料は、会社からの評価ひょうかで決まります。社長と3ヶ月かげつに1回面談めんだんをして、成果せいかみとめられたらお給料も上がります。前に働いていた会社では、年齢で金額きんがくまるという、納得がいかない評価もありました。だから、今は満足していますよ。

成果=やりげたことで結果けっか

 評価=どれだけ価値があるかを考えたもの

虹太:
並木さんは、何のために働いていますか?

最低限のお金を稼ぎつつも、楽しくまちに関わって好きなことをして、楽しく働いているはは背中せなかを自分の子どもたちに見せるためです。

わー:
「働く」と「お金の関係」について思うことを教えてください。

私は社会とかかわる活動をしているので、仕事が直接ちょくせつお金になりにくいというジレンマもあります。活動がもっと世の中に評価されて、お金が集まるような仕組みになっていればいいのにな、と思うことがよくあります。

どんなに魅力みりょくてきな活動でも、お金が全くなくては続けられませんからね。

わー:
最後さいごに、子どもたちへのメッセージをおねがいします!

私はわりと何も考えないで、子どものころから大学までぼーっとごしてしまいました。もっと社会を見て、いろんな人と会って、自分は大人になったら何がしたいのか真剣しんけんに考えればよかったなと思います。

仕事をするにも、趣味を楽しむにも、子どもとの時間を過ごすにも、結局けっきょくは人のえん。魅力的な人と出会い、一緒になにかをやり遂げることで、きっと自分の可能かのうせいは広がります。

だから子どもや若者わかものには、いろんな大人にたくさん会って話をして、いろんな活動にびこんでみてほしいです。私も子どもが生きていく環境かんきょうをいいものにできるよう、一人の大人として、そして母として全力をくします。

勉強も大事ですが、いろんな考え方の人に出会って、自分の世界を広げていってくださいね!

わー・虹太:
ありがとうございました!

まちづくりコーディネーターってどんな仕事?

・イベントをやったり、いろんな仕掛けを考えたりしながら、街全体を盛り上げる

・人と人がつながるきっかけづくりのイベントを考える

・人と一緒に、まちや地域のコミュニティをつくる

・まちの魅力を上げることを目指して、コンサルティングをする

まちづくりコーディネーターの魅力

・いろんな人と関われる

・いろんな人と知り合いになれる

・ただ生活をしているだけでは出会わないような、魅力的な人に出会える

・お金だけでは測れないところにやりがいを見いだせる

大変なこと

・いろんな人が集まってくるので、変な人が来ることもある

・意見の違いやぶつかることがある

・仕事や活動に対して、すぐに結果が出るというわけではない

・小さな積み重ねややりとりが多い

「働く」と「お金」の関係について

・働くこと=楽しい

・みんなが楽しんで働けるようになると、いきいきとした、いい社会になる

・最低限生きていくお金は誰でも必要

・仕事の楽しさと、もらえるお金のバランスが大切

並木さんが思う大切なこと

・楽しく働いている親の背中を子どもたちに見せる

・実際に会ってコミュニケーションをとることで、生まれる価値がある

・魅力的な人と出会い、一緒になにかをやり遂げることで可能性が広がる

・お金には換えられない価値が、どんどん大事になっていく

・毎日の小さなことの積み重ねが、街をよくしていくことにつながる

・まち全体で子どもを育てるのが当たり前で、もっと子どもがいろんな大人と関われる世の中になってほしい

・いろんな大人にたくさん会って、たくさん話をして、いろんな活動に飛びこんでほしい

【子どものためのおしごとメディアNARIWAI】
子ども取材班:わー、虹太
編集部:スナミアキナ、吉川ゆゆ
ライティング:吉川ゆゆ
サムネイルデザイン:南 裕子
編集:スナミアキナ
編集長:吉川ゆゆ
主催:YOKARO