
今回のお相手:Prius Shotaさん
「心に灯す光と色彩のパレット」をテーマに、アーティストという仕事を生業としている。撮った写真に色彩の魔法をかけている。夢は世界中でアートを通して癒しの時間と空間を届けること。小学1年生から英語を勉強していて、それから世界中の人と交流したいと思うようになった。ニックネームはプリちゃん。
子ども取材班
No.1 ケイティ:
空手や書道を一生懸命がんばっている。空手で館長賞を取ったことが嬉しかった。
No.3 るったん:
勉強や書道を一生懸命頑張っている。将来の夢はディズニーの社員。
つらい時はアートが心を癒してくれた
るったん:
なぜその仕事をしようと思ったのか、そしてしているのかを教えてください。
大学生くらいまであまり将来の夢がはっきりなかったんですが、絵や写真といった芸術に、趣味として興味がありました。心の奥ではそういうことができたらいいなと思っていました。
今までの人生で、本当につらくて悲しいできごとをたくさん経験しました。いじめにもあったし、友だちに裏切られることも、自分のしたいことをお父さんから反対されることもたくさんありました。
いろんなことをすぐ感じ取って心がつらくなること、心が痛くなること、体と心の性別が合わないこと……いっぱいありました。
そうしたつらい時は、苦しいことや悲しいことがあってもアートによって心が癒されてきたんです。たくさんのことを経験してようやく、自分にはアーティストとして生きていくことが向いていて、ずっとしていきたいことなんだと気づいてから、こうして生きるようになりました。
自分が今度はアーティストとして、たくさんの人に癒しを届けたいと思っています。
裏切る=信じていた人が味方でなくなり、敵になってしまうこと
性別=男と女、オスとメス
ケイティ:
その経験は作品につながっていますか?
つながっています。アーティストとしてつくるアートは、自分が今までに体験してきたこと、心の喜怒哀楽といった感情すべてが作品にぎゅぎゅっと集まってくる。作品が自分の心を表す鏡のようなものです。つらいことも苦しいことも作品として現れる。
「自分の思いをわかってよ」ということではありません。「一歩ずつでも前に進んでいこう」というメッセージです。
喜怒哀楽=喜び、怒り、悲しみ、楽しさなどの気持ちのこと
るったん:
つらいことがあったんですね……。
生まれ変わってもまたこの仕事がしたいですか?
表現することが大好きですからね。どうなっているかわからないけど、やっているんじゃないかな?それくらい好きですね。

今までの経験が作品に集まっている
るったん:
この仕事を今の子どもにおすすめできますか?
すべての人にはおすすめしません。でも表現することが、アートが、四六時中時間を忘れるくらい大好きな人であればおすすめはします。
表現することが好きで好きでたまらない子じゃないと、すぐに諦めてしまうことになるでしょうね。本当に厳しい世界です。挑戦することはおすすめしますけどね。
あとはどこまで自分を信じて続けられるか。すぐに人気が出なくても、決して諦めない心を持てるか。楽しみたい、知りたいという気持ちをなくさずに、自分からどんどんチャレンジしていくことができるか。そして芸術以外にもたくさん興味を持って勉強し続けることができるかどうか。これらが、アーティストになるために必要なポイントだと思います。
挑戦=やってみること
るったん:
なるほど……。ではこの職業の魅力と大変なことは何ですか?
魅力は、自分の心の中で描いていることが形となって、それを好きになってくれたり欲しいと言ってくれる人、応援してくれる人が現れることです。他の仕事にはなかなかない経験だと思います。
もともとは何もない空間で、そこに自由にいろんなものを生み出せる楽しさがありますね。何でも自由にできます。できることの範囲が広いんです。自分の世界をとことん表現して作ることができるのも魅力ですね。
大変なことは……表現することが難しいです。大人になってからも常に勉強し続けなければならない。この世界には才能を持った人、ものごとを上手にできる人が星の数ほどいます。その中で自分のしていることを多くの人に知ってもらうための努力や、魅力を磨き続けていかないといけません。
他の人と比べてしまい、「自分なんかだめだ」という心の中の戦いもあります。そこが一番苦しい。どうやって克服するか。自分自身に負けないことも必要です。
範囲=限られた広さ
才能=生まれつき持っているすばらしい力
克服=努力して、難しいものごとに勝つこと
るったん:
強い気持ちが必要なんですね。プリウスさんがこれからやっていきたいことは何ですか?
個展です。毎年のようにやっていきたい。海外でもたくさん作品を作っていろんな人とコミュニケ―ションをとって個展をしたいですね。作品集を出すなど、年を重ねてもチャレンジし続ける人になっていきたいです。
ケイティ:
海外でどんな作品を作りたいですか?
なぜこういうことをやっていて、どんな思いで作っているのかを、今のそのままの作風で海外の人に伝えていきたいです。また、日本では撮ることができない景色や色を撮りたいと思っています。

個展や作品集など、これからもチャレンジし続けていきたい
働くとお金の関係
―ここからは、「働く」ことと「お金」の関係についてもお聞きしていきましょう。働く大人はこの二つについてどのように考えているのでしょう?
るったん:
「働く」ということについてはどう思いますか?
最初はつらいというイメージが強かったです。今はいろんな経験をして考えが変わりました。働くということは「はた」まわりを「らく」にするということ。自分が頑張ることで周りの人が喜んだり楽しんだりする、と思うと頑張れます。自分だけがしんどい思いをするためのものではなく、周りの人が感動したり喜んだり、心の状態をよくすることが「働く」なのかな。
この世界は、数えきれないほどの人が毎日お仕事をしてくれているおかげで、いろいろ便利なサービスを受けることができます。目に見えないところでも、たくさんの人が働いています。
毎日みんなが学校で勉強するのは、させられているものではなくて、将来大人になったときに困らないようにするためです。仕事を通してたくさんの人に喜んでもらうことができるようになるためでもあります。
仕事を選ぶときも、勉強し続けた人がいろんな仕事を選ぶことができます。できる限り自分の得意なことを仕事にした方が、生きやすくなるかなとも思います。ずっと続いていくことですからね。
仕事があること、働くことができることはありがたいことなのです。
ケイティ:
勉強するって大事ですね。「お金」についてはどう思いますか?
今までお金で色々と大変な経験をしてきました。でもお金は決して汚いものではなくて、人が生きていく中で必要なもの。
お金は、何かと交換するための道具でもあります。周りの人を喜ばせたり楽しませたり、便利な暮らしにするためのもの。お返しとして自分のもとに戻ってくるもの。「ありがとう」や「これからも応援しているね」という気持ちがこもっています。それを伝えるための道具なのかな。
お金持ちになりたい気持ちがあったら、その分周りの人をたのしませたりよろこばせたりすること。お金持ちになれない人は、まだそこまでできていないのかもしれないですね。
るったん:
「お金を稼ぐ」ということについてどう思いますか?
「お金」についてのお話と同じで、「稼ぐ」というのは周りにいる人を喜ばせたり楽しませたりするためのものだと思います。また、ものごとをより便利にしてくれるものに対してのお返しとして、お金がある。自分や周りを幸せにすることなのかな。
初めて自分で稼いだとき、なんて大変なんだろうって強く感じました。ずっと働き続けている人はすごいです。働くって、簡単なことではないからです。一人じゃ解決できないこともありますし、正解がない問題に出会うこともたくさんあります。
ケイティ:
正解がない問題に出会ったときはどうするんですか?
「もしかしたら、これだったら自分なりの正解に近づけるんじゃないかな」と思ってチャレンジします。だめだったら違う方法でやる。ひとつずつチャレンジしています。
るったん:
稼ぐのは大変と言っていましたが、お給料はどうやって決まりますか?
決まったお給料は今はないんです。一人でお仕事を作って、お金をお客様から頂いています。毎月決まったお金はなくて、その月によってばらばら。頑張ったら頑張った分増えて、そうでないときは減ります。
るったん:
満足していますか?
満足はしてはいないですね(笑)。だからこそ、より多くの人を喜ばせたり楽しませるためにはどうしたらいいか考えています。大きなことをしようと思うほどお金が必要なので、チャレンジを繰り返しています。

個展で販売している作品たち
自分の可能性をあきらめない
ケイティ:
プリウスさんは、何のために働いているんですか?
やっぱり、働くということは周りの人をハッピーにすることだと思うんです。いろんな仕組みを作った人がいるから、便利に生活できている。動いている人がいる。見えないところでたくさんの人が働いている。だから今の生活が充実しています。「生きることは、働くこと」「働くことは、生きること」なのかな。
充実=じゅうぶんに幸せを感じられること
ケイティ:
ハッピーにしたり癒したりできたら、自分にとってそれはいいことだということですね。
そうですね。自分だけが幸せになるのは難しい。周りの人の協力や応援、サポートがあるから幸せになれます。自分のしたことで周りの人をハッピーにするというのはとても嬉しいですね。相手がどうしたら喜んでくれるかを考え、それに対して自分のできることをやっていきたいです。
るったん:
「働く」と「お金の関係」についてはどう思いますか?
全部つながっていると思います。働くことで周りの人が充実した生活を送ることができるし、それに対してのお返しとしてお金が返ってくる。ありがとうの気持ちを込めているから、人はお金を払っています。受け取った人がまた良い作品を作ったりサービスをしたりして、ありがとうが循環している。すてきなことですね。
循環=まわって戻ってくることを繰り返すこと
ケイティ:
では最後に、子どもたちにメッセージをお願いします!
偉そうなことは言えないけど……みんなはこれから大人になっていくにつれて、いろいろ現実を知ることになります。可能性を閉じてしまう人もいます。だからこそ、決して自分でその可能性をあきらめないようにして欲しいです。「こうしたい」ということがあれば、叶えるまでとことん努力してみる。どんな努力も、大事です。
あとは、想いを実現している大人の人にたくさん話を聞くこと。可能性を信じ続けて、なりたいものがあれば動き続けることも、とても大切だと思いますよ!
ケイティ・るったん:
ありがとうございました!

アーティストってどんな仕事?
・撮った写真に光と色彩の魔法をかけて作品にする(Priusさんの場合)
・フォトアート作品の発信や販売をして、多くの人に知ってもらう
・ギャラリーを作って個展を開く
・見る人に癒しを届ける
アーティストの魅力
・自分の心の中で描いていることが形となる
・作品を好きになってくれる人、欲しいと言ってくれる人、応援してくれる人が現れる
・何もない空間に自由にいろんなものを生み出せる
・できることの範囲が広い
・自分の世界をとことん表現して作ることができる
大変なこと
・表現することが難しい
・大人になってからも常に勉強し続けなければならない
・自分のしていることを多くの人に知ってもらうための努力や、魅力を磨き続けていかないといけない
・自分自身に負けないようにすること
「働く」と「お金」の関係
・働くことで周りの人が充実した生活を送ることができる
・お返しとしてお金が返ってくる
・お金にはありがとうの気持ちを込められている
・お金を受け取った人がまた良い作品を作ったりサービスをしたりして、ありがとうが循環している
Priusさんの思う大切なこと
・働くということは周りの人をハッピーにすること
・見えないところでたくさんの人が働いている。だから今の生活が充実している
・「生きることは、働くこと」「働くことは、生きること」
・決して自分でその可能性をあきらめない
・叶えるまでとことん努力してみる
・想いを実現している大人の人にたくさん話を聞く
・可能性を信じ続けて、なりたいものがあれば動き続ける
こんなお話もしました
るったん:
Priusさんの個展って誰でも行けるんですか?
もちろん!無料にしているし、誰でも入れるようにしていますよ。気に入ってもらえたら作品を買うこともできますしね。
るったん:
個展をしたいと思ったら場所などどうやって決めてるんですか?
インターネットで、借りるギャラリーを探しています。希望の地域で探すんですが、たくさんありますよ。ひとつずつHPを見て、雰囲気や情報でいいなと思ったところにします。それで見学に行ったりして、肌で感じて決めています。
るったん:
個展の場所や日時は毎回変わりますか?
その時そのときで変わります。自分のやりたい時期やテーマに合わせて自分で決めています。
時期=決まった期間
るったん:
今年もやりますか?
4月に一度開催しました。コロナウイルスの影響であまり人が来ませんでしたが。でもビデオ通話などで個展の様子を楽しんでもらいました。今年は大きな個展の予定はないですね。早くて来年かな。
Prius Shotaさんのホームページ
【子どものためのおしごとメディアNARIWAI】
子ども取材班:ケイティ、るったん
編集部:スナミアキナ、吉川由
ライティング:吉川由
サムネイルデザイン・編集:スナミアキナ
編集長:吉川由
主催:YOKARO