インタビュー記事

第4回 光と色彩の魔法使い 「アーティスト」 Prius Shotaさん【後編】

今回のお相手:Prius Shotaプリウスしょうたさん

「心にともす光と色彩しきさいのパレット」をテーマに、アーティストという仕事を生業なりわいとしている。った写真に色彩の魔法まほうをかけている。ゆめは世界中でアートを通していやしの時間と空間をとどけること。小学1年生から英語を勉強していて、それから世界中の人と交流したいと思うようになった。ニックネームはプリちゃん。

子ども取材班しゅざいはん

No.1 ケイティ:
空手や書道を一生懸命いっしょうけんめいがんばっている。空手で館長賞かんちょうしょうを取ったことがうれしかった。
No.3 るったん:
勉強や書道を一生懸命頑張っている。将来の夢はディズニーの社員。


前編はこちら


つらい時はアートが心を癒してくれた


るったん:
なぜその仕事をしようと思ったのか、そしてしているのかを教えてください。


大学生くらいまであまり将来しょうらいゆめがはっきりなかったんですが、絵や写真といった芸術げいじゅつに、趣味しゅみとして興味きょうみがありました。心のおくではそういうことができたらいいなと思っていました。

今までの人生で、本当につらくてかなしいできごとをたくさん経験けいけんしました。いじめにもあったし、友だちに裏切うらぎられることも、自分のしたいことをお父さんから反対はんたいされることもたくさんありました。

いろんなことをすぐかんってこころがつらくなること、心がいたくなること、体と心の性別せいべつが合わないこと……いっぱいありました。

そうしたつらい時は、くるしいことや悲しいことがあってもアートによって心がいやされてきたんです。たくさんのことを経験してようやく、自分にはアーティストとして生きていくことがいていて、ずっとしていきたいことなんだと気づいてから、こうして生きるようになりました。

自分が今度こんどはアーティストとして、たくさんの人にいやしをとどけたいとおもっています。


裏切る=しんじていた人が味方みかたでなくなり、てきになってしまうこと

性別=男と女、オスとメス


ケイティ:
その経験は作品さくひんにつながっていますか?


つながっています。アーティストとしてつくるアートは、自分が今までに体験してきたこと、心の喜怒哀楽きどあいらくといった感情かんじょうすべてが作品にぎゅぎゅっとあつまってくる。作品が自分の心をあらわかがみのようなものです。つらいことも苦しいことも作品としてあらわれる。

「自分の思いをわかってよ」ということではありません。「一歩いっぽずつでもまえすすんでいこう」というメッセージです。


喜怒哀楽=喜び、怒り、悲しみ、楽しさなどの気持ちのこと


るったん:
つらいことがあったんですね……。
生まれわってもまたこの仕事がしたいですか?


表現することが大きですからね。どうなっているかわからないけど、やっているんじゃないかな?それくらい好きですね。


今までの経験が作品に集まっている


るったん:
この仕事を今の子どもにおすすめできますか?


すべての人にはおすすめしません。でも表現することが、アートが、四六時中しろくじちゅう時間を忘れるくらい大好きな人であればおすすめはします。

表現することが好きで好きでたまらない子じゃないと、すぐにあきらめてしまうことになるでしょうね。本当にきびしい世界せかいです。挑戦ちょうせんすることはおすすめしますけどね。

あとはどこまで自分をしんじてつづけられるか。すぐに人気が出なくても、けっしてあきらめない心をてるか。たのしみたい、知りたいという気持ちをなくさずに、自分からどんどんチャレンジしていくことができるか。そして芸術以外げいじゅついがいにもたくさん興味きょうみを持って勉強し続けることができるかどうか。これらが、アーティストになるために必要ひつようなポイントだと思います。


挑戦=やってみること


るったん:
なるほど……。ではこの職業しょくぎょう魅力みりょく大変たいへんなことは何ですか?


魅力は、自分の心の中でいていることがかたちとなって、それを好きになってくれたりしいと言ってくれる人、応援おうえんしてくれる人が現れることです。ほかの仕事にはなかなかない経験だと思います。

もともとはなにもない空間くうかんで、そこに自由にいろんなものを生み出せる楽しさがありますね。何でも自由にできます。できることの範囲はんいが広いんです。自分の世界をとことん表現ひょうげんして作ることができるのも魅力ですね。

大変なことは……表現することがむずかしいです。大人になってからもつねに勉強し続けなければならない。この世界には才能さいのうを持った人、ものごとを上手にできる人がほしかずほどいます。その中で自分のしていることを多くの人に知ってもらうための努力どりょくや、魅力をみがき続けていかないといけません。

他の人とくらべてしまい、「自分なんかだめだ」というこころの中のたたかいもあります。そこが一番いちばん苦しい。どうやって克服こくふくするか。自分自身じしんけないことも必要です。


範囲=限られた広さ

才能=生まれつき持っているすばらしい力

克服=努力どりょくして、難しいものごとにつこと


るったん:
強い気持ちが必要なんですね。プリウスさんがこれからやっていきたいことは何ですか?


個展こてんです。毎年まいとしのようにやっていきたい。海外でもたくさん作品を作っていろんな人とコミュニケ―ションをとって個展をしたいですね。作品しゅうを出すなど、年をかさねてもチャレンジし続ける人になっていきたいです。


ケイティ:
海外でどんな作品を作りたいですか?


なぜこういうことをやっていて、どんな思いで作っているのかを、今のそのままの作風さくふうで海外の人に伝えていきたいです。また、日本ではることができない景色けしきや色を撮りたいと思っています。


個展や作品集など、これからもチャレンジし続けていきたい



働くとお金の関係


ここからは、「働く」ことと「お金」の関係についてもお聞きしていきましょう。働く大人はこの二つについてどのように考えているのでしょう?

るったん:
「働く」ということについてはどう思いますか?


最初はつらいというイメージが強かったです。今はいろんな経験をしてかんがえが変わりました。働くということは「はた」まわりを「らく」にするということ。自分が頑張がんばることでまわりの人がよろこんだり楽しんだりする、と思うと頑張れます。自分だけがしんどい思いをするためのものではなく、まわりの人が感動したり喜んだり、心の状態じょうたいをよくすることが「働く」なのかな。

この世界は、数えきれないほどの人が毎日お仕事をしてくれているおかげで、いろいろ便利べんりなサービスをけることができます。目に見えないところでも、たくさんの人がはたらいています。

毎日みんなが学校で勉強するのは、させられているものではなくて、将来大人になったときにこまらないようにするためです。仕事を通してたくさんの人に喜んでもらうことができるようになるためでもあります。

仕事をえらぶときも、勉強し続けた人がいろんな仕事を選ぶことができます。できる限り自分の得意とくいなことを仕事にした方が、生きやすくなるかなとも思います。ずっと続いていくことですからね。

仕事があること、働くことができることはありがたいことなのです。


ケイティ:
勉強するって大事ですね。「お金」についてはどう思いますか?


今までお金で色々いろいろと大変な経験をしてきました。でもお金は決してきたないものではなくて、人が生きていく中で必要なもの。

お金は、何かと交換こうかんするための道具どうぐでもあります。周りの人を喜ばせたり楽しませたり、便利べんりらしにするためのもの。おかえしとして自分のもとにもどってくるもの。「ありがとう」や「これからも応援しているね」という気持ちがこもっています。それをつたえるための道具なのかな。

お金持ちになりたい気持ちがあったら、その分周りの人をたのしませたりよろこばせたりすること。お金持ちになれない人は、まだそこまでできていないのかもしれないですね。


るったん:
「お金をかせぐ」ということについてどう思いますか?


「お金」についてのお話と同じで、「稼ぐ」というのは周りにいる人を喜ばせたり楽しませたりするためのものだと思います。また、ものごとをより便利にしてくれるものに対してのお返しとして、お金がある。自分や周りを幸せにすることなのかな。

初めて自分で稼いだとき、なんて大変なんだろうって強く感じました。ずっと働き続けている人はすごいです。働くって、簡単かんたんなことではないからです。一人じゃ解決かいけつできないこともありますし、正解せいかいがない問題もんだいに出会うこともたくさんあります。


ケイティ:
正解がない問題に出会ったときはどうするんですか?


「もしかしたら、これだったら自分なりの正解に近づけるんじゃないかな」と思ってチャレンジします。だめだったらちが方法ほうほうでやる。ひとつずつチャレンジしています。


るったん:
稼ぐのは大変と言っていましたが、お給料きゅうりょうはどうやってまりますか?


決まったお給料は今はないんです。一人でお仕事を作って、お金をお客様きゃくさまからいただいています。毎月決まったお金はなくて、その月によってばらばら。頑張ったら頑張った分えて、そうでないときはります。


るったん:
満足まんぞくしていますか?


満足はしてはいないですね(笑)。だからこそ、より多くの人を喜ばせたり楽しませるためにはどうしたらいいか考えています。大きなことをしようと思うほどお金が必要なので、チャレンジをり返しています。


個展で販売している作品たち



自分の可能性をあきらめない


ケイティ:
プリウスさんは、何のために働いているんですか?


やっぱり、働くということは周りの人をハッピーにすることだと思うんです。いろんな仕組しくみを作った人がいるから、便利に生活できている。動いている人がいる。見えないところでたくさんの人が働いている。だから今の生活が充実じゅうじつしています。「生きることは、働くこと」「働くことは、生きること」なのかな。


充実=じゅうぶんに幸せを感じられること


ケイティ:
ハッピーにしたり癒したりできたら、自分にとってそれはいいことだということですね。


そうですね。自分だけがしあわせになるのは難しい。周りの人の協力や応援、サポートがあるから幸せになれます。自分のしたことで周りの人をハッピーにするというのはとても嬉しいですね。相手がどうしたら喜んでくれるかを考え、それに対して自分のできることをやっていきたいです。


るったん:
「働く」と「お金の関係」についてはどう思いますか?


全部つながっていると思います。働くことで周りの人が充実した生活を送ることができるし、それに対してのお返しとしてお金が返ってくる。ありがとうの気持ちをめているから、人はお金を払っています。受け取った人がまた良い作品を作ったりサービスをしたりして、ありがとうが循環じゅんかんしている。すてきなことですね。


循環=まわってもどってくることを繰り返すこと


ケイティ:
では最後に、子どもたちにメッセージをお願いします!


えらそうなことは言えないけど……みんなはこれから大人になっていくにつれて、いろいろ現実げんじつを知ることになります。可能性を閉じてしまう人もいます。だからこそ、決して自分でその可能性をあきらめないようにして欲しいです。「こうしたい」ということがあれば、かなえるまでとことん努力してみる。どんな努力も、大事だいじです。

あとは、おもいを実現している大人の人にたくさん話を聞くこと。可能性をしんじ続けて、なりたいものがあれば動き続けることも、とても大切だと思いますよ!


ケイティ・るったん:
ありがとうございました!




アーティストってどんな仕事?

・撮った写真に光と色彩の魔法をかけて作品にする(Priusさんの場合)

・フォトアート作品の発信や販売をして、多くの人に知ってもらう

・ギャラリーを作って個展を開く

・見る人に癒しを届ける


アーティストの魅力

・自分の心の中で描いていることが形となる

・作品を好きになってくれる人、欲しいと言ってくれる人、応援してくれる人が現れる

・何もない空間に自由にいろんなものを生み出せる

・できることの範囲が広い

・自分の世界をとことん表現して作ることができる


大変なこと

・表現することが難しい

・大人になってからもつねに勉強し続けなければならない

・自分のしていることを多くの人に知ってもらうための努力や、魅力を磨き続けていかないといけない

・自分自身にけないようにすること


「働く」と「お金」の関係

・働くことで周りの人が充実した生活を送ることができる

・お返しとしてお金が返ってくる

・お金にはありがとうの気持ちを込められている

・お金を受け取った人がまた良い作品を作ったりサービスをしたりして、ありがとうが循環している


Priusさんの思う大切なこと

・働くということは周りの人をハッピーにすること

・見えないところでたくさんの人が働いている。だから今の生活が充実している

・「生きることは、働くこと」「働くことは、生きること」

・決して自分でその可能性をあきらめない

・叶えるまでとことん努力してみる

・想いを実現している大人の人にたくさん話を聞く

・可能性を信じ続けて、なりたいものがあれば動き続ける



こんなお話もしました


るったん:
Priusさんの個展って誰でも行けるんですか?


もちろん!無料むりょうにしているし、誰でも入れるようにしていますよ。気に入ってもらえたら作品を買うこともできますしね。


るったん:
個展をしたいと思ったら場所などどうやって決めてるんですか?


インターネットで、りるギャラリーをさがしています。希望きぼう地域ちいきで探すんですが、たくさんありますよ。ひとつずつHPを見て、雰囲気ふんいき情報じょうほうでいいなと思ったところにします。それで見学に行ったりして、はだで感じて決めています。


るったん:
個展の場所や日時は毎回変わりますか?


その時そのときで変わります。自分のやりたい時期じきやテーマに合わせて自分で決めています。


時期=決まった期間


るったん:
今年もやりますか?


4月に一度開催かいさいしました。コロナウイルスの影響えいきょうであまり人が来ませんでしたが。でもビデオ通話つうわなどで個展の様子ようすを楽しんでもらいました。今年は大きな個展の予定よていはないですね。早くて来年かな。




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【子どものためのおしごとメディアNARIWAI】
子ども取材班:ケイティ、るったん
編集部:スナミアキナ、吉川由
ライティング:吉川由
サムネイルデザイン・編集:スナミアキナ
編集長:吉川由
主催:YOKARO