インタビュー記事

第23回  子どもと一緒に運動を楽しむ「体操の先生」 宍倉健太さん【後編】

今回のお相手:宍倉ししくら健太けんたさん

体操たいそうの先生という仕事しごと生業なりわいとしている。ライズスポーツクラブの社員しゃいんとして、保育ほいくえん幼稚ようちえん、体操教室で600~700人の子どもたちに体操を教えている。保育と幼稚園の先生の免許めんきょつ、子どもきなパパでもある。スポーツが大好きで、とく野球やきゅう得意とくい

子ども取材班しゅざいはん

No.9 わー:
にわとりの世話せわをがんばっている。書道しょどうきゅうが上がったことがうれしかった。

No.10 ばん:
バスケのドリブル練習れんしゅう二重にじゅうとびをがんばっている。誕生たんじょう日にレストランに行ったこと、大なわでみんなで目標もくひょう達成たっせいしたことが嬉しかった。

No.15 ぜん:
勉強や友達とあそ工夫くふうかんがえることをがんばっている。友達に「大きだよ」と言ったら「ぼくもだよ」と言われたことが嬉しかった。

子どもたちの成長を感じられる仕事

ばん:
生まれ変わってもまたこの仕事をしたいですか?

したいです!

わー:
その理由はなんですか?

おもしろいから。子どもが成長するのが目に見えてわかるし、その成長する姿の手助けができるというのが、おもしろいし楽しいです。子どもにも親にも感謝かんしゃされるのが嬉しいし、やりがいがあります。

ぜん:
体操の先生は、今の子どもにおすすめできますか? 理由りゆうも教えてください。

人に教えることが好きな人にはおすすめです。はじめてできるようになったときの子どもたちの嬉しそうな顔、れてる顔を見ると、先生になってよかったなと思います。

たった1週間しゅうかんっただけでも、みんな少しずつ上達しています。それがどんどんかさなって、すごいことができるようになることもある。そういう成長が間近まぢかで見られるのは楽しいですよ。

ちびっこもできることがどんどん増えていく

ばん:
小学校の勉強で役に立つことはありますか?

全部の勉強が大事になると思います。特に体を動かす体育は必要だと思う。計算けいさんすることも多いから、算数も必要かな。

書類を書いたり読んだりすることもあるので、国語も大事です。本を読むことで頭もきたえられるし、言葉も学べます。

わー:
健太先生がこれからやっていきたいことは何ですか?

もっとたくさんの子を指導して、上達させたいです。でも体は1つなので、教えられる人数には限界げんかいがあります。今年は、私だけで600人~700人の子どもたちに教えています。

ぜん:
えー! すごい!

もっと教えたいけれど、1人だとそこまでが限界です。1000人、2000人に教えるとなると私1人ではむずかしいから、一緒に働く仲間なかまが同じように指導できる仕組みを作らなくてはいけません。

あとは、YouTubeユーチューブで体操が上達する方法や、でんぐり返し、さか上がりのやり方などの配信はいしんをしようかと考えています。

もっとたくさんの子どもたちに教えていきたい

楽しむ気持ちが稼ぐことにつながっている

ぜん:
ここからは「働く」と「お金」の関係についても聞いていきます。「働く」ということについてどう思いますか?

楽しく生きていくうえで、大切なことかな。やりたいことを楽しくやっていくためにも、お金が必要。そのためには働くことが必要だと思います。

ばん:
お金についてはどう思っていますか?

「働く」とつながっていて、好きなことをしていくためにもお金は必要だと思います。ぜんくんも、ばんくんも、わーちゃんも、好きなことがあるよね?

全員:
はい。

読書するには本を買わなきゃいけないし、バスケットボールはボールやバスケットシューズ、サッカーはスパイク、野球はバットやグローブが必要です。

今みんなが住んでる家、座っているイス、目の前にあるパソコンやスマホ、ご飯、住んでる家、電気や水道、ガス……こうやって考えると、生活するうえでもお金は必要です。

生活を楽しむためにもお金は必要

わー:
お金をかせぐことについてはどう思いますか?

会社からの評価ひょうか次第でお金は稼げると思います。私は会社員なので、評価が上がるとお給料も増えます。

私の仕事は、園での指導と習いごとの指導の二種類しゅるいがあります。園での指導は時間と回数で金額きんがくが決まっているので、いくら参加さんか人数が多くても毎月支払しはらわれる金額は同じです。

たとえば「40分を月に4回」というように、時間と回数が同じなら、10人のクラスでも50人のクラスでも、園から会社に支払われるお金は同じ。ただし、人数が多いほうが教えるのは難しいので、評価は上がります。

習いごとは、一人ひとりが月謝を払ってレッスンを受けます。なので参加者が増えるほど、支払われるお金も増える。また「健太先生が好き」「健太先生に教えてもらいたい」と思う人が参加してくれるので、私の評価も上がります。今は200人くらいの子どもたちが「健太先生に教えてほしい」とレッスンに来てくれています。

ただ私には、稼いでる感覚かんかくはありません。「稼ぐぞ!」と思うと力が入りすぎてうまくいかないので、「楽しい!」と思いながら仕事をしています。それが結果けっかとして、稼ぐことにつながっているのかな。

園の指導も習いごとの指導も、どちらも楽しくて大切な仕事

しあわせな家族が増えれば、世の中も幸せになる

ぜん:
給料きゅうりょうはどうやってまっていますか? 満足まんぞくしていますか?

給料は、1年間の私の個人こじんの売り上げがどれだけ会社に貢献こうけんしているかで決まります。

私は会社員なので、給料は社長が決めます。たとえば、「今年は〇百万円稼いだ」と会社でいい結果が出たときに、「この人は会社に貢献してくれているから、次の年も頑張ってもらえるように給料を上げよう」というように給料が決まります。

たとえ今は給料が安かったとしても、1年間頑張って会社に貢献したら、次の年に給料が上がるかもしれない。逆に、「これだけ稼いだから今年は適当でいいや」と貢献せずに会社の売り上げがったら、来年は給料が下がるかもしれない。

貢献ってわかるかな?

ばん:
役立つっていう意味ですか?

そう。会社が成長できるようにたくさん手伝ったり、役立ったりしていることですね。そうすることで、自分の成長や給料が上がることにつながると思います。

ばん:
健太先生は何のために働いていますか?

子どもに喜んでもらうためです。子どもが喜んでくれたら親も喜ぶし、みんな笑顔になれば家庭が喜びにちるし、幸せになるでしょう? 幸せな家庭が増えていけば、世の中は幸せに回っていくので、そういう家庭を増やしていきたいと思って働いています。

親も先生も、子どもの頑張りを応援している

わー:
「働く」と「お金」の関係についてどう思いますか?

働けばお金をもらえるというだけではなく、人に喜んでもらえたかどうかでその関係は変わってくると思います。

体操を習うにも、子どもたちは「健太先生に教えてもらいたい」と私を選んでお金を払ってくれているわけです。体操がおもしろいと思うから、喜んでずっと習い続けてくれています。

「健太先生の体操つまらない、もう嫌だ」となったら、お金を払うのがもったいなくなりますよね。そうなると、私はそのうちお金がなくなってしまう。

だから私の場合は、人にいかに喜んでもらえるかが大事。その成果がお金につながるのかなと思います。

さっき、1年間仕事を頑張って会社の売り上げが増えると給料が上がる話をしたけれど、給料はすぐには増えません。どれくらい時間がかかるかはわからないけれど、頑張って頑張って頑張って働いて、いい結果を出したら、ようやく給料が増えると思っています。

ぜん:
最後に、子どもたちへメッセージをお願いします!

子どもたちが「体操は楽しい!」と喜んでくれることをとても嬉しく思っています。そして私も、子どもと一緒に楽しめるところが、この仕事の魅力です。私はいつも子どもたちと一緒にふざけて、遊びながら楽しく働いています!

 みんなは楽しい人と、いつもくらい気持ちの人と、どっちと一緒にいたい?

わー:
楽しい人と一緒にいたいです。

そうだよね。仕事は、自分がいかに楽しめるか。「この仕事つらい、もう嫌だ!」と思っている先生と、「この仕事楽しい! もっとみんなと遊びたい!」と思っている先生だったら、明らかに楽しそうな先生と一緒にいたいですよね。

これからやりたいことや楽しくできることを見つけて、まわりに喜んでもらえるような人になってほしいです。

「ありがとう」って言葉がありますよね。その反対はんたいの意味の言葉って知ってる?

わー:
どういたしまして?

ぜん:
すいません?

ばん:
なんだろう?

反対の言葉はね、「当たり前」。ありがとうって漢字かんじで書くと、「ることが難しい(有難う)」と書きます。意味は、「めったにないこと」。つまり、奇跡きせきとも言える。そうすると、奇跡の反対語は当たり前になる。

みんな、今生きているのは当たり前だと思ってるでしょう? でも生きていることは奇跡なんです。当たり前じゃない。

私は毎朝まいあさ、「心臓しんぞうが動いている!」「目が見えている!」「しゃべれる!」などを感じて、生きていることに感謝しています。そうすると心に余裕が持てるようになり、仕事が楽しく感じるようになりました。

この「ありがとう」と「当たり前」を意識すると、少し心がゆたかになるかもしれません。みんなにも、生きていることを当たり前と思わずに、「ありがたいな」と思いながら日々過ごしてもらえたら嬉しいです。

全員:
ありがとうございました!

こんな話もしました

みんなのことも聞いてみたいな。わーちゃんはどんな大人になりたいの?

わー:
将来のゆめは作家です。読書が好きです。

どんな本が好きなの?

わー:
ミステリー小説が好きです。あとはピアノをやっています。

すごいな。私は、もうあまりけなくなってるな。

ぜん:
ぼくも2歳からちょっとだけピアノを弾いていました。

私は2年ぐらいしか習っていないから、ぜんくんのほうが上手だと思う!

保育士と幼稚園の免許めんきょを取る専門学校に通っているときに、必死にピアノを練習しました。なぜなら、免許を取るためにはピアノが弾けないといけないから。でも今はピアノを弾く機会きかいが全くないので、弾けなくなりましたね。

ぜん:
僕は鬼滅きめつやいばの曲をピアノで練習してたけど、他にやりたいことができて途中とちゅうで止めたので、弾けないです。

鬼滅の刃=アニメにもなった漫画まんがの名前

ぜんくんが他にやりたいこと、好きなことって何かな?

ぜん:
サッカー、野球、漢字が好きです。

漢字が好きなの!? 一番好きな字はどれ?

ぜん:
今まで書いた字の中では、議題ぎだいの「議」! 画数かくすうが多くて、書きごたえがある感じが好きです。野球は習ってるんじゃなくて、家でやってる。サッカーもボールをバウンドせずにゴールができるように、家で何回も練習しています。

私も家で野球をやっているんだけど、おくさんに「家の中でやらないの!」と毎回すごくおこられます(笑)。ばんくんは何が好きなの?

ばん:
ぼくはバスケットボールとかスケートボード(スケボー)が好きです。

スケボー!見るだけでなくやってるの?

ばん:
はい、ちょっとだけ。

いいね、東京オリンピックでは、平野歩夢さんがかっこよかったよね。私もスケボーをやってみたいです!

体操の先生ってどんな仕事?

・幼稚園や保育園で子どもたちに体操を教える

・習いごととして体操を教える

・サッカー、野球、テニス、スケート、ダンスなどいろんなスポーツを教える

・お泊まりキャンプやスキー教室など、楽しいイベントも行う(宍倉さんの場合)

体操の先生の魅力

・子どもの上達が目に見えてわかることがおもしろい

・教えると子どもがどんどん成長して、いろんなことができるようになる

・できるようになると子どもも親も喜び、幸せな家庭が増える

・子どもと一緒に運動を楽しめる

大変なこと

・一人ひとりの性格の違いなどもをしっかり見極めて教えること

・できるようになるタイミングや見極めるポイントを長い目で見ていくこと

・自分ができないことを教えること

・どうやったら子どもたちができるようになるだろうかと勉強すること

「働く」と「お金」の関係について

・楽しく生きていくうえで大切

・やりたいことを楽しくやっていくために働くことが必要

・「働く」と「お金」はつながっている

・生活するうえでもお金は必要

・自分の評価次第でお金は稼げる

・「楽しい!」と思う気持ちや人に喜んでもらうことが、結果として稼ぐことにつながっている

宍倉さんが思う大切なこと

・人仕事はまず自分が楽しむこと

・仕事は人に喜んでもらうことが大事と

・みんなが笑顔になると家庭が喜びに満ちる

・幸せな家庭が増えると、世の中は幸せに回っていく

・「ありがとう」と「当たり前」を意識すると心が豊かになる

・生きていることを当たり前と思わずに感謝して過ごす

【子どものためのおしごとメディアNARIWAI】
子ども取材班:わー、ばん、ぜん
編集部:スナミアキナ、吉川ゆゆ
ライティング:吉川ゆゆ
サムネイルデザイン:南 裕子
編集長:吉川ゆゆ
主催:YOKARO