今回のお相手:川口ゆりさん
リレーションデザイナーという仕事を生業としている。人と人をつないでビジネスや地域の出発点をつくることを中心に、コミュニティマネージャー、人事、MC・司会、広報ライター、イベントファシリテーションなどいくつかの仕事をかけ合わせて働いている。北海道出身で北海道と東京の2か所で活躍中。好きな食べ物はスープカレー。
子ども取材班
No.1 ケイティ:
空手や書道を一生懸命がんばっている。空手で館長賞を取ったことが嬉しかった。
No.9 わー:
にわとりの世話をがんばっている。書道の級が上がったことが嬉しかった。
生活をするためにお金を稼ぐ仕事のことを「生業」といいます。おしごとメディアNARIWAIでは、働く大人に「仕事」と「お金」の関係についてお話を聞いていきます。
今回のゲストは川口ゆりさん。リレーションデザイナーです。リレーションデザイナーって、いったいどんなお仕事なのでしょう?
ケイティ、わー:
よろしくお願いします。
川口さん:
よろしくお願いします。
優しさと強さを持った大人になりたかった
あたたかな雰囲気でお話ししてくれる川口さん
ケイティ:
子どもの頃、どんな大人になりたいと思っていましたか?
私には、すごく仲のいい4歳年下の妹がいます。いつもお母さんやお父さんに「私たちがいなくなっても姉妹は仲良くしてね」と言われていました。
それがきっかけで、自分よりも年下の子や周りの人に対して、優しさを持った強い大人になりたいと思うようになりました。家族を大事にするような大人になりたいとも思っていましたね。今でも妹とは仲良しで、両親のことも、親戚のことも大好きです。
ケイティ:
なるほど。
子どもの頃は自分のことよりも人のことが気になってしまう子でした。誰かがいじめられていると、いじめている上級生たちのクラスまで行って「いじめはやめて!」とはっきりと言いに行くような、勇気のある小学生でした。
そうかと思えば、とてもマイペースな子でもありました。周りにうまくなじめなくて、なんとなく自分が好きなことをして、ラジオを聞いてたの(笑)。休み時間は保健室の先生のところに行って、好きな本を持ち込んで気の済むまで読んだり、話を聞いてもらったりしてた。それで人のつらさや、見えない痛みに対して、特に敏感なのかもしれません。
だからこそ、ちゃんと周りを理解でき、誰かが困った時に、「まずゆりに相談しよう」と思い出してもらえる、精神的に頼りになる強い人になろうと思ったのかな。
ケイティ:
実は私にもきょうだいがいて。
そうなんだ!
ケイティ:
私もケンカしたり、一緒に遊んだりしてます。
きょうだいは何歳なの?
ケイティ:
9歳です。
そっかぁ、ケンカするんだね。わかるなあ。きょうだいって、ちょっとしたことでケンカしちゃうよね(笑)。わーちゃんは?
わー:
下に2人きょうだいがいます。ケンカしてばっかりで、すごくうるさいです(笑)。
やっぱりきょうだいって、みんなそうだよね。
ケイティ:
妹のことがきっかけで、今の仕事に就いたんですか?
それもあるかもしれないな。
私にはずっと昔から、人との関係や出会いを大事にしたい気持ちがあります。小学生の頃は、人としゃべったり交流したりする仕事がしたいと思っていました。今もそういう仕事をしているので、言われてみればつながっていますね。
3人とも、下にきょうだいがいるお姉ちゃん!
人と人との関係性をつくる仕事
わー:
憧れていた人はいますか?
私は小学生の時に、6年間ピアノを習っていました。そのピアノの先生がすてきな人で、私がピアノのコンクールや練習で失敗しても、「大丈夫だよ」と言ってくれました。先生は頑張り屋さんなのに、子どもたちにはいつも優しく教えてくれる姿がしなやかですごく憧れて、今でも感謝しています。
わー:
川口さんの職業名は何ですか?
職業名は、「リレーションデザイナー」です。人と人との関係性をつくるお仕事です。私はひとつではなく、複数の仕事をしているんですよ。
まず一つは、人事という仕事。会社で新しく人を受け入れたり、採用するときに面接をしたりします。他にも、会社で働いている人たちの幸せとは何かを考えて、働きやすいようにいろいろと工夫して、働く環境を整えます。
人事は働く人のことを考える専門家で、基本的にはどこの会社にもあるお仕事。会社に新しく入った人も、すでに働いている人も楽しく働けるようにしています。
採用=試験や実際に会って話をして、会社が「この人に働いてもらおう」と決めること
面接=問題を解くのではなく、顔をあわせて会話するテスト
専門家=その分野のプロ
わー:
そうなんですね。
もう一つはイベントMC。みんなが買い物やイベントに参加したときに、マイクを持ってお話している司会の人がいますよね。その仕事がMCです。
私は人としゃべることがもちろん好きだけど、周りの人が楽しそうにしているのを見るのも大好き。小学生のときも全校集会では、いつも司会やマイクでしゃべる役目をしていました。今はそれが仕事になっていますね。
さらに広報ライターといって、すでに世の中にあるものの魅力を見つけ、言葉にして伝える仕事もあります。それと、コミュニティマネージャーという仕事。人々が働く場所で、コミュニティという人の輪をつくっています。
いくつも仕事をかけ合わせて働いている
ケイティ:
一言でいうと、川口さんの仕事はどういう仕事なんですか?
すごく簡単にいうと、人に何かを伝え、人のために行動する「人に関わる仕事」です。
ケイティ:
そもそも、お仕事をこんなにたくさんやってて、大変じゃないんですか?
大変です!(笑)
全員:
(笑)。
職業は1つに絞るほうがいいこともあるけれど、私は昔から好奇心が旺盛で、何でもやってみたい性格なんです。学校の先生に「やりたいことは何ですか?」と聞かれたときも、「いろいろやりたいです」と答えるような子どもでした。昔から、やりたいことは1つに絞れませんでした。
だったら全部やろうと思って、今はいろんなお仕事をしています。バラバラなことをしているようで、実は全部の仕事に共通点があります。
それは「人に関係すること」や「自分の仕事で、周りがより幸せになること」がはっきりとわかるということ。いろんな仕事をしていますが、大事にしていることはどれにも共通しています。
好奇心が旺盛=いろんなことに興味を持ち、知ろうとすること
共通点=どちらにも当てはまるもの
それぞれの仕事で大切にしていること
ケイティ:
人事の仕事で工夫していることはありますか?
人の話をよく聞くようにしています。こうやって、初対面の人としゃべるのって、誰でも緊張しない?
初対面=初めて会うこと
ケイティ:
緊張します。
緊張するよね。実は今日私も、ケイティちゃんとわーちゃんが緊張しているのと同じぐらい、緊張しています。どんなことを聞かれるだろう?と思って。
でも相手の気持ちや何をしゃべりたいのかがわかると、楽しいし学びがあります。自分がお話をするのも大事だけど、私は相手の話を最後まで聞くようにしていますね。
少しずつ緊張がほぐれてきたかな?
ケイティ:
具体的に、どういう時にMCの仕事をするんですか?
北海道の魅力を伝えるイベントがあって、そこで司会をすることが多いです。MCとして、地域の魅力を伝えるイベントでお話をすることが増えましたね。
北海道のイベントでもMCをしている
ケイティ:
広報ライターの仕事で、言葉にして伝えるときはどんなことに気をつけてますか?
とにかく誰が見てもわかりやすい言葉を使うことです。難しい言葉を使っても、意味が伝わらないことが多いですからね。大人が読んでも、2人のような小学生が読んでも、ちゃんと意味が通じるように、わかりやすい言葉で書くことを大事にしています。
あと、誰かを傷つける表現を使っていないかも気をつけています。2人は、学校で感想文を書くことはあるかな?
仕事をするうえで、相手の話をしっかり聞くことが大事
全員:
はい。
日本語には、たくさんの言葉があるよね。自分は傷つけるつもりはなくても、その言葉で相手が傷ついちゃうこともある。それこそきょうだいとケンカして、お互い傷つくような言葉を言っちゃったこともあると思うの。
でも言葉って、1回外に出すともう取り消せない。言っても書いてもずっと心に残り続けるものだから、なるべく相手にとって優しい言葉を使うようにしています。
ケイティ:
会社に所属しないことの、メリットとデメリットを教えてください。
私は会社に所属した経験もあるし、所属していなかった時期もあります。
会社に所属をしないで仕事をすると、自由なことがメリットです。何が自由かというと、時間の使い方を自分で決められること。
会社員として仕事をすると、例えば朝9時に会社に行って、夜6時まで働くというように、決まったスケジュールで毎日8時間ほど働くことが多いです。
会社に所属しない場合は決まったスケジュールがないので、自分が好きな時に働いて、好きな時に遊ぶ生活ができます。
所属=その場所のメンバーになること
ケイティ:
なるほど。
デメリットは、スケジュールが決められているわけじゃないので、「この時間は仕事しよう」「寝よう」「遊ぼう」と、自分でスケジュールを決めないといけません。
ついダラダラしてしまうこともあれば、思ったよりたくさんいろんな予定を詰めてしまい、休日なのにずっと働いていることもあります。せっかくの休日なのに忙しくなってしまうと、少し残念です。
会社に所属しない場合、時間の使い方はとても大事だと思います。自分でスケジュールをしっかりと管理しないと、時間の無駄になったり体が疲れたりしてしまう。それがデメリットかな。
人のつながりをつくることが天職
ケイティ:
インターネットで川口さんのことを見たら、前は女将、今はコミュニティマネージャーをしているって書いてあったんですけど、どんなことをしているんですか?
コミュニティマネージャーは、ひとが働く場所で誰かと誰かをつないだり、コミュニティをつくったりするお仕事です。
人と人をつなぐ大切な役割も果たしている
わー:
なぜそのお仕事をしようと思ったんですか?
自分が相手に贈れるものはなんだろう?と考えた時に、自然とその仕事が思い浮かんだからかな。誰かが周りにいて、一緒にワイワイと何かをすることが大好きです。
私の仕事は自分1人でできる仕事ではなく、みんなと一緒に新しいことを考えながらやってみたり、夢を追いかけたり、表現をしたりできる仕事。そこに魅力を感じています。
―リレーションデザイナーとして大切にしていることや、人との関わりについてお話ししてくださった川口さん。複数のお仕事のかけ合わせをしていることに、取材班は驚いていました。後編ではお仕事の魅力や、「働く」と「お金」の関係についても聞いていきます。
【子どものためのおしごとメディアNARIWAI】
子ども取材班:ケイティ、わー
編集部:スナミアキナ、吉川ゆゆ
ライティング:吉川ゆゆ
サムネイルデザイン:南 裕子
編集長:吉川ゆゆ
主催:YOKARO