インタビュー記事

第22回  人と人との関係性をつくる「リレーションデザイナー」 川口ゆりさん【前編】

今回のお相手:川口かわぐちゆりさん

リレーションデザイナーという仕事しごと生業なりわいとしている。人と人をつないでビジネスや地域ちいき出発しゅっぱつてんをつくることを中心ちゅうしんに、コミュニティマネージャー、人事じんじMCエムシー司会しかい広報こうほうライター、イベントファシリテーションなどいくつかの仕事をかけわせてはたらいている。北海道ほっかいどう出身しゅっしんで北海道と東京とうきょうの2かしょ活躍かつやくちゅうきなものはスープカレー。

子ども取材班しゅざいはん

No.1 ケイティ:
空手や書道を一生懸命いっしょうけんめいがんばっている。空手で館長賞かんちょうしょうを取ったことがうれしかった。

No.9 わー:
にわとりの世話せわをがんばっている。書道しょどうきゅうが上がったことがうれしかった。

生活をするためにお金をかせぐ仕事のことを「生業なりわい」といいます。おしごとメディアNARIWAIでは、働く大人に「仕事」と「お金」の関係についてお話を聞いていきます。

今回のゲストは川口かわぐちゆりさん。リレーションデザイナーです。リレーションデザイナーって、いったいどんなお仕事なのでしょう?

ケイティ、わー:
よろしくおねがいします。

川口さん:
よろしくお願いします。

優しさと強さを持った大人になりたかった

あたたかな雰囲気ふんいきでおはなししてくれる川口さん

ケイティ:
子どものころ、どんな大人おとなになりたいとおもっていましたか?

わたしには、すごくなかのいい4さい年下とししたいもうとがいます。いつもお母さんやお父さんに「私たちがいなくなっても姉妹しまいは仲良くしてね」とわれていました。

それがきっかけで、自分じぶんよりも年下の子やまわりの人にたいして、やさしさをったつよい大人になりたいとおもうようになりました。家族かぞく大事だいじにするような大人になりたいとも思っていましたね。今でも妹とは仲良しで、両親りょうしんのことも、親戚しんせきのことも大好きです。

ケイティ:
なるほど。

子どもの頃は自分のことよりも人のことが気になってしまう子でした。だれかがいじめられていると、いじめている上級じょうきゅうせいたちのクラスまでって「いじめはやめて!」とはっきりと言いに行くような、勇気ゆうきのある小学しょうがく生でした。

そうかと思えば、とてもマイペースな子でもありました。周りにうまくなじめなくて、なんとなく自分が好きなことをして、ラジオをいてたの(笑)。休み時間は保健ほけんしつの先生のところに行って、好きな本を持ちんで気のむまで読んだり、話を聞いてもらったりしてた。それで人のつらさや、見えないいたみに対して、とく敏感びんかんなのかもしれません。

だからこそ、ちゃんと周りを理解りかいでき、誰かがこまった時に、「まずゆりに相談そうだんしよう」と思い出してもらえる、精神せいしんてきたよりになる強い人になろうと思ったのかな。

ケイティ:
じつは私にもきょうだいがいて。

そうなんだ!

ケイティ:
私もケンカしたり、一緒に遊んだりしてます。

きょうだいは何歳なんさいなの?

ケイティ:
9歳です。

そっかぁ、ケンカするんだね。わかるなあ。きょうだいって、ちょっとしたことでケンカしちゃうよね(笑)。わーちゃんは?

わー:
下に2人きょうだいがいます。ケンカしてばっかりで、すごくうるさいです(笑)。

やっぱりきょうだいって、みんなそうだよね。

ケイティ:
妹のことがきっかけで、今の仕事しごといたんですか?

それもあるかもしれないな。

私にはずっとむかしから、人との関係かんけい出会であいを大事にしたい気持ちがあります。小学生の頃は、人としゃべったり交流こうりゅうしたりする仕事がしたいと思っていました。今もそういう仕事をしているので、言われてみればつながっていますね。

 3人とも、下にきょうだいがいるお姉ちゃん!

人と人との関係性をつくる仕事

わー:
あこがれていた人はいますか?

私は小学生の時に、6年間ねんかんピアノをならっていました。そのピアノの先生がすてきな人で、私がピアノのコンクールや練習れんしゅう失敗しっぱいしても、「大丈夫だいじょうぶだよ」と言ってくれました。先生は頑張がんばさんなのに、子どもたちにはいつもやさしくおしえてくれる姿すがたがしなやかですごく憧れて、今でも感謝かんしゃしています。

わー:
川口さんの職業しょくぎょうめいは何ですか?

職業名は、「リレーションデザイナー」です。人と人との関係かんけいせいをつくるお仕事です。私はひとつではなく、複数ふくすうの仕事をしているんですよ。

まず一つは、人事じんじという仕事。会社かいしゃあたらしく人をれたり、採用さいようするときに面接めんせつをしたりします。ほかにも、会社で働いている人たちのしあわせとは何かをかんがえて、働きやすいようにいろいろと工夫くふうして、働く環境かんきょうととのえます。

人事は働く人のことを考える専門せんもんで、基本きほんてきにはどこの会社にもあるお仕事。会社に新しく入った人も、すでに働いている人もたのしく働けるようにしています。

採用さいよう試験しけん実際じっさいに会って話をして、会社が「この人に働いてもらおう」とめること

面接めんせつ問題もんだいくのではなく、かおをあわせて会話かいわするテスト

専門せんもん=その分野ぶんやのプロ

わー:
そうなんですね。

もう一つはイベントMCエムシー。みんながものやイベントに参加さんかしたときに、マイクをっておはなししている司会しかいの人がいますよね。その仕事がMCです。

私は人としゃべることがもちろん好きだけど、周りの人が楽しそうにしているのを見るのも大好き。小学生のときも全校ぜんこう集会しゅうかいでは、いつも司会やマイクでしゃべる役目やくめをしていました。今はそれが仕事になっていますね。

さらに広報こうほうライターといって、すでになかにあるものの魅力みりょくを見つけ、言葉ことばにしてつたえる仕事もあります。それと、コミュニティマネージャーという仕事。人々ひとびとが働く場所ばしょで、コミュニティという人のをつくっています。

いくつも仕事をかけ合わせて働いている

ケイティ:
一言ひとことでいうと、川口さんの仕事はどういう仕事なんですか?

すごく簡単かんたんにいうと、人に何かをつたえ、人のために行動こうどうする「人にかかわる仕事」です。

ケイティ:
そもそも、お仕事をこんなにたくさんやってて、大変たいへんじゃないんですか?

大変です!(笑)

全員ぜんいん
(笑)わらい

職業は1つにしぼるほうがいいこともあるけれど、私はむかしから好奇心こうきしん旺盛おうせいで、何でもやってみたい性格せいかくなんです。学校の先生に「やりたいことは何ですか?」と聞かれたときも、「いろいろやりたいです」とこたえるような子どもでした。昔から、やりたいことは1つに絞れませんでした。

だったら全部ぜんぶやろうと思って、今はいろんなお仕事をしています。バラバラなことをしているようで、実は全部の仕事に共通きょうつうてんがあります。

それは「人に関係すること」や「自分の仕事で、周りがより幸せになること」がはっきりとわかるということ。いろんな仕事をしていますが、大事にしていることはどれにも共通しています。

好奇心こうきしん旺盛おうせい=いろんなことに興味きょうみを持ち、知ろうとすること

共通きょうつうてん=どちらにもてはまるもの

それぞれの仕事で大切にしていること

ケイティ:
人事じんじの仕事で工夫くふうしていることはありますか?

人の話をよく聞くようにしています。こうやって、初対面しょたいめんの人としゃべるのって、だれでも緊張きんちょうしない?

初対面しょたいめんはじめて会うこと

ケイティ:
緊張します。

緊張するよね。実は今日私も、ケイティちゃんとわーちゃんが緊張しているのと同じぐらい、緊張しています。どんなことを聞かれるだろう?と思って。

でも相手あいての気持ちや何をしゃべりたいのかがわかると、楽しいしまなびがあります。自分がお話をするのも大事だけど、私は相手の話を最後さいごまで聞くようにしていますね。

少しずつ緊張がほぐれてきたかな?

ケイティ:
具体ぐたいてきに、どういうときにMCの仕事をするんですか?

北海道の魅力を伝えるイベントがあって、そこで司会をすることが多いです。MCとして、地域ちいきの魅力を伝えるイベントでお話をすることがえましたね。

北海道のイベントでもMCをしている

ケイティ:
広報ライターの仕事で、言葉にして伝えるときはどんなことに気をつけてますか?

とにかく誰が見てもわかりやすい言葉を使うことです。むずかしい言葉を使つかっても、意味いみが伝わらないことが多いですからね。大人が読んでも、2人のような小学生が読んでも、ちゃんと意味が通じるように、わかりやすい言葉で書くことを大事にしています。

あと、誰かをきずつける表現ひょうげんを使っていないかも気をつけています。2人は、学校で感想かんそうぶんくことはあるかな?

仕事をするうえで、相手の話をしっかり聞くことが大事

全員:
はい。

日本語には、たくさんの言葉があるよね。自分は傷つけるつもりはなくても、その言葉で相手が傷ついちゃうこともある。それこそきょうだいとケンカして、おたがい傷つくような言葉を言っちゃったこともあると思うの。

でも言葉って、1回外に出すともうせない。言っても書いてもずっと心にのこつづけるものだから、なるべく相手にとって優しい言葉を使うようにしています。

ケイティ:
会社に所属しょぞくしないことの、メリットとデメリットをおしえてください。

私は会社に所属した経験けいけんもあるし、所属していなかった時期じきもあります。

会社に所属をしないで仕事をすると、自由じゆうなことがメリットです。何が自由かというと、時間の使い方を自分で決められること。

会社員として仕事をすると、例えば朝9時に会社に行って、夜6時まで働くというように、決まったスケジュールで毎日8時間ほど働くことが多いです。

会社に所属しない場合は決まったスケジュールがないので、自分が好きな時に働いて、好きな時に遊ぶ生活ができます。

所属しょぞく=その場所のメンバーになること

ケイティ:
なるほど。

デメリットは、スケジュールが決められているわけじゃないので、「この時間は仕事しよう」「よう」「遊ぼう」と、自分でスケジュールを決めないといけません。

ついダラダラしてしまうこともあれば、思ったよりたくさんいろんな予定よていめてしまい、休日きゅうじつなのにずっと働いていることもあります。せっかくの休日なのにいそがしくなってしまうと、少し残念ざんねんです。

会社に所属しない場合、時間の使い方はとても大事だと思います。自分でスケジュールをしっかりと管理かんりしないと、時間の無駄むだになったり体がつかれたりしてしまう。それがデメリットかな。

人のつながりをつくることが天職てんしょく

ケイティ:
インターネットで川口さんのことを見たら、前は女将おかみ、今はコミュニティマネージャーをしているって書いてあったんですけど、どんなことをしているんですか?

コミュニティマネージャーは、ひとが働く場所で誰かと誰かをつないだり、コミュニティをつくったりするお仕事です。

人と人をつなぐ大切な役割やくわりたしている

わー:
なぜそのお仕事をしようと思ったんですか?

自分が相手におくれるものはなんだろう?と考えた時に、自然しぜんとその仕事が思いかんだからかな。誰かが周りにいて、一緒いっしょにワイワイと何かをすることが大好きです。

私の仕事は自分1人でできる仕事ではなく、みんなと一緒に新しいことを考えながらやってみたり、ゆめいかけたり、表現ひょうげんをしたりできる仕事。そこに魅力を感じています。

―リレーションデザイナーとして大切にしていることや、人との関わりについてお話ししてくださった川口さん。複数のお仕事のかけ合わせをしていることに、取材しゅざいはんは驚いていました。後編こうへんではお仕事の魅力や、「働く」と「お金」の関係についても聞いていきます。

【子どものためのおしごとメディアNARIWAI】
子ども取材班:ケイティ、わー
編集部:スナミアキナ、吉川ゆゆ
ライティング:吉川ゆゆ
サムネイルデザイン:南 裕子
編集長:吉川ゆゆ
主催:YOKARO