今回のお相手:宍倉健太さん
体操の先生という仕事を生業としている。ライズスポーツクラブの社員として、保育園、幼稚園、体操教室で600~700人の子どもたちに体操を教えている。保育士と幼稚園の先生の免許を持つ、子ども好きなパパでもある。スポーツが大好きで、特に野球が得意。
子ども取材班
No.9 わー:
にわとりの世話をがんばっている。書道の級が上がったことが嬉しかった。
No.10 ばん:
バスケのドリブル練習・二重とびをがんばっている。誕生日にレストランに行ったこと、大繩でみんなで目標達成したことが嬉しかった。
No.15 ぜん:
勉強や友達と遊ぶ工夫を考えることをがんばっている。友達に「大好きだよ」と言ったら「僕もだよ」と言われたことが嬉しかった。
生活をするためにお金を稼ぐ仕事のことを「生業」といいます。おしごとメディアNARIWAIでは、働く大人に「仕事」と「お金」の関係についてお話を聞いていきます。
今回のゲストは宍倉健太さん。体操の先生です。体操の先生って、いったいどんなお仕事なのでしょう?
全員:
よろしくお願いします。
宍倉さん:
よろしくお願いします。私は子どもたちに「健太先生」と呼ばれているので、みんなも健太先生と呼んでくださいね。
全員:
はい!
スポーツの何でも屋さん
体操だけではなくいろんなスポーツを教えている健太先生
わー:
健太先生の職業名は何ですか?
子ども向けの体操の先生です。スポーツインストラクターともいいます。
ぜん:
ひとことで言うと、何をしている仕事なんですか?
幼稚園や保育園で体操を教えています。大人向けに教えることもありますよ。
ばん:
仕事内容を詳しく教えてください。
メインは、幼稚園や保育園で子どもたちに体操を教える先生です。それだけではなく、サッカー、野球、テニス、スケート、ダンスなどいろんなスポーツを教えています。スポーツの何でも屋さんみたいな感じですね。
今はコロナ禍であまりできていないけれど、1泊2日のお泊まりキャンプやスキー教室など、楽しいイベントの仕事もしていますよ。
コロナ禍=新型コロナウィルスの感染が広がり、生活が変わってしまった状態のこと
わー:
子どもの頃、どんな大人になりたいと思ってましたか?
テレビで、〇〇レンジャーっていますよね。幼稚園の頃は、ああいう戦隊ヒーローになりたかったです。レッドじゃなくて、ブルーになりたかったですね。
ばん:
なんでブルーになりたかったんですか?
好きな色がブルーだったから。みんなはレッドになりたがっていたけれど、レッドはチームのリーダーでしょう? 私はリーダーになりたいと思わなかったから、ブルーのほうが好きだったのかもしれないな。
小学校5年生からは野球をやっていたので、その頃はプロ野球選手になりたいと思っていました。
ぜん:
憧れていた人はいますか?
いませんでした。憧れというものが何なのか、よくわかっていなかったのかもしれません。
ばん:
今憧れている人はいますか?
芸能人だと玉木宏さん。見た目がすごくかっこいいし、演技も上手だと思います。芸能人以外だと、社長さんや経営者の人たち。経営者ってわかるかな?
経営者=会社などの目的を達成するため、計画したり実行したりして進めていく人
ばん:
わかります。
経営者の人たちや、一生懸命働いてる人に憧れています。ばんくんには憧れている人がいるの?
ばん:
八村塁選手です! あとマイケル・ジョーダン。
八村塁=アメリカのNBAというバスケットボールリーグで活躍する選手
マイケル・ジョーダン=NBAでプレーしていた元プロバスケットボール選手
そうか、バスケットボールが好きなんだもんね、いいね! ばんくんが将来バスケット選手になったら教えてね。
ばん:
はい!
子どもの頃から今でも変わらず野球が大好き
体を動かす楽しさや喜びを知って欲しい
会話が弾む子ども取材班と健太先生
ぜん:
どんなふうに子どもに体操を教えているんですか?
そうだねえ……先生も子どもの気持ちになって楽しんでるだけなんですよ。
全員:
(笑)!
だってこれをかぶって出てくるような人だよ?
健太先生は、この姿で取材に登場しました! 子ども取材班は大笑い!
ぜん:
最初見たとき、びっくりして声が出ました(笑)。
しょうもないことが好きな大人です(笑)。
ぜん:
全然しょうもなくないです!
ばん:
一度に何人くらいの子どもを教えているんですか?
一番多いところで、100人です。1人で教えています。
ばん:
えっ!
一番少ないところで10人ぐらいかな。場所によって人数は違うけれど、1回で100人を教えている園もあります。1日で300人に教えることもあって、そういうときは300人の園児を100人ずつ3回に分けて教えます。
ばん:
大変じゃないんですか?
大変だけど、それよりも楽しいなと思います。
取材班のみんなは、私が話していることを理解できるでしょう? でも園児の子たちは、まだ難しい言葉がわからないからね。「どうやってうまく伝えようかな?」と考えながらやるのもまた楽しいです。
わー:
どうして今の仕事をしようと思ったのか教えてください。
子どもと関わる仕事をしたいと思ったからです。
私には14歳年下の弟がいます。私が18歳のとき弟は4歳で、たまに幼稚園の送り迎えをしていました。そのときに他の子どもたちが私のところに集まってきて。一緒に遊んでいるうちに、子どもと関わる仕事も楽しそうだと思うようになりました。
幼稚園や保育園の先生になろうと思いましたが、最初は違う仕事に就きました。でもやはり子どもと関わりたくて、24歳の時に学校に通って資格を取り、体操の先生になりました。
体を動かす楽しさや、できなかったことができるようになったときの嬉しい気持ちを知って欲しくて、この仕事を頑張っています。
ばん:
ルールを守らない子は、どうしていますか?
どれくらいルールを守らないのかによって変わるけれど、もちろん注意はします。でも、あまり厳しく言わないようにはしているかな。
「これはだめ!」と言うよりも、「こうするといいかもね」と伝えるようにしています。だめと強く言われると、みんなも嫌でしょう? それに、だめと言われると逆にやりたくなる子もいます。
否定するのではなく、前向きな言葉で、その子がルールを守ってくれるような声かけをするようにしています。
小さい子への説明の仕方も工夫している
とにかく子どもがかわいくて大好き!
ぜん:
どうやったら体操の先生になれるんですか?
専門学校や大学などの学校を出て、体操を指導する会社に入ればなれます。「(宍倉さんが働いている)ライズスポーツクラブで働きたい!」って言ってくれたらなれるよ(笑)。
子どもたちに教える先生の仕事だから、子どもが好きな人や、何かを教えるのが好きな人が向いていると思います。考えることが好きな人もいいですね。
なぜなら先ほど、「ルールを守らない子はどうしますか?」という質問があったけれど、注意するだけではなくて、この子はどうやったらルールを守れるかを考えることが大事です。
あとは、愛情と熱意がある人。子どものためを思って行動し、一生懸命教えるぞという熱意がある人は、きっとなれます。
専門学校=その分野のプロになるための学校
ばん:
どうして子どもが好きになったんですか?
弟の幼稚園の子たちや、弟の友達が家に来て一緒に遊んでいるうちに、子どもってかわいいなと思うようになりました。
それに私が23歳くらいのときに、妹が赤ちゃんを産みました。その子のお世話をしたり、少しずつ成長するのを見たりして、「かわいいな」「成長するのがすごく早くておもしろいな」と思い、さらに子どもが好きになりました。
いつでも子どもたちを楽しませたい
ぜん:
体操の先生になるのに、資格は必要ですか?
私の会社では特に必要ないですね。
ただ子どもと関わる資格には、保育士や幼稚園の先生、教員などがあります。そういう資格があれば勉強をしてきたことをアピールできるので、就職には役立つと思います。
働くうえで、何かしら資格を持っていればきっといいですね。世の中にはいろんな資格があります。私は、クレーンの資格を持っていますよ。
ばん:
ものをつかむクレーン?
そうそう、荷物をガチャンとつかむ、大きなクレーンを運転できる資格を持っています。前の会社で働いていたときに、役に立ちました。
子どもの喜ぶ笑顔が力になる
わー:
好きなスポーツや得意なスポーツはありますか?
好きなスポーツはたくさんありますが、一番は野球です。小学校5年生から野球をやってたので、得意ですね。
中学校のときに、リトルシニアというクラブチームに入っていて、そこで全国3位になりました。ただ私はレギュラーじゃなかったので、試合にはあまり出ていなかったんですけどね(笑)。
高校生のときは、200校が出場する神奈川県の大会で、16位になったことがあります。
サッカーも好きだし、バスケットボールもテレビで放送される機会が増えたので、よく見ていますよ。他にもスキーやスノーボードなど、とにかくいろんなスポーツが好きですね。
子どもたちは愛情と熱意でいっぱいの健太先生が大好き
わー:
この職業の魅力と大変だと思うことは何ですか?
子どもがどんどん上達するのが、目に見えてわかることがおもしろいです。またいろんなことを教えて、練習したらすぐできるようになる。 できるようになったら子どもは喜びます。そうすると親も喜んでくれる。そこがすごく魅力だと思います。
大変なことは、性格もできることも違うから、一人ひとりをしっかり見て教えることです。できるようになるタイミングもそれぞれ違うし、見極めるポイントもある。そこを長い目で見ていくのは少し大変ですね。
あとは、自分ができないことを教えるとき。実は私は、体操の先生なのにバク転ができません。
バク転=後方倒立回転飛びという、体操の技のひとつ
ばん:
じゃあどうやって教えるんですか?できることは実際にやってみせたりするんですか?
できることはやってみせることもあります。バク転のように自分にできないことは、腕の振り方や飛び方を順番に細かく教えていきます。自分ができないので、どうやったら子どもたちができるようになるだろうかと勉強するのは大変ですね。
一人ひとりに合わせて指導している
―体操の先生としての想いや、子どもとの関わりについてお話ししてくださった宍倉さん。楽しいお話に取材班も笑顔が絶えず、会話が弾んでいました。後編ではお仕事の魅力や、「働く」と「お金」の関係についても聞いていきます。
【子どものためのおしごとメディアNARIWAI】
子ども取材班:わー、ばん、ぜん
編集部:スナミアキナ、吉川ゆゆ
ライティング:吉川ゆゆ
サムネイルデザイン:南 裕子
編集長:吉川ゆゆ
主催:YOKARO